ちばてつや氏「兵隊の顔、鬼気迫る」

 「ゲゲゲの鬼太郎」など独自の妖怪物や戦記で知られた漫画家の水木しげる(みずき・しげる、本名武良茂=むら・しげる)さんが30日午前7時18分、多臓器不全のため東京都三鷹市の杏林大病院で死去した。93歳。鳥取県出身。葬儀・告別式は近親者で行い、後日、お別れの会を開く。喪主は妻武良布枝(むら・ぬのえ)さん(83)。

 長年交流のあった漫画家ちばてつや氏(76)は「ユーモラスでおおらかな人。どんなことにもじたばたせず、どこか達観したところがありました。会っただけで、こっちも癒やされて穏やかな気持ちになりました」と、人柄を語った。

 水木さんの戦記漫画について「出てくる兵隊の顔、表情がね、鬼気迫る非常にリアルな絵です。あれは戦地にいた人じゃないと描けない。きっと戦地で亡くなった仲間たちを思いながら、慰霊する気持ちを込めて描いておられたんだと思います」と推し量った。

 アシスタントを務めていたつげ義春氏(78)は「水木さんに教わったのは、絵を細かく丁寧に描くということ。本当はシャイな人だけれど、表向きはおおらかに振る舞った。ひと言で言えば、大人物だった」と悼んだ。

 「釣りキチ三平」の矢口高雄氏(76)は出版社に原稿を持ち込もうと秋田県から上京、編集者の反応から諦めていた時に「大丈夫だよ」と励まされたという。「漫画家になれたのは水木さんのおかげ」と感謝した。

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