野坂さん 大島監督との殴り合い秘話
「焼け跡闇市派」を自称し、小説「火垂るの墓」などで直木賞を受賞、作詞家やタレントとしても活躍した作家で元参院議員の野坂昭如(のさか・あきゆき)さんが9日午後、心不全のため都内の病院で死去した。85歳。神奈川県出身。葬儀・告別式は19日午前11時から東京・青山葬儀所で。喪主は妻暘子(ようこ)さん。2003年に脳梗塞で倒れ、闘病を続けていた。
野坂さんと、語りぐさとなっている殴り合いを演じた映画監督の故大島渚さんの妻で女優の小山明子(80)は10日、デイリースポーツの取材に応じ、「多才で色んなことをされ、ダンディーでした。大島も映画監督でもテレビに出たりしていたので、そういう意味では似ているところがあったのだと思います」と悼んだ。
“事件”は1990年10月、大島夫妻の結婚30周年祝賀会で起きた。祝辞を待たされたことに立腹した野坂さんが泥酔状態で登壇し、大島さんに右ストレート一せん。大島さんがマイクで2発殴り返したところで小山が慌てて仲裁に入った。
小山は「いつもあれが(映像で)出るからインパクトが強くて。もちろんあの後も大島と野坂さんは交流がありました。大島が『(祝辞の)順番を間違えて申し訳なかった』と謝って、あのことは終わっています」と述懐した。
暘子さんとは、共に夫が病に倒れたことで2009年に共著「笑顔の介護力」を出版するなど親交が深い。「奥さまとは『子供のケンカのようね』と話しました。大島も野坂さんもお酒飲みなので『お互い苦労するわね』って」と、伝説のケンカの裏側にあった“妻の思い”を明かした。
野坂さんはフジテレビ「オールナイトフジ」でとんねるず・石橋貴明を平手打ちしたり、日本テレビ「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」で浜田雅功とたたき合ったこともある。