スター・ウォーズ 注目ポイントは3つ
人気シリーズのエピソード7となる新作「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」が、18日18時30分から全国一斉に封切られる。徹底した秘密主義で物語はいまだ多くが謎に包まれ、期待は高まるばかり。注目のポイントを3つの要素で紹介したい。
(1)オリジナル3部作へのオマージュ
公開日に先駆け、関係者向けに行われた内覧試写会はわずか3回。謎とされてきた物語だが、いざ作品を見てみると、その理由がよく分かった。
お約束となる「遠い昔、はるか彼方の銀河系で…」の文字の後、タイトルロゴと心躍るテーマ曲が流れ、導入の物語が下からせり上がってくる。その1文目から「えぇ!?そうなの?」と驚いた。その後もネタバレしてしまうと鑑賞の楽しみを損ないかねない展開のオンパレード。ハリソン・フォード(73)が「作品を台無しにしたくない」と口をつぐみ、他の出演者も自分の登場シーン以外の物語を知らされていなかったというのも、うなずける。
舞台は1983年に公開されたエピソード6の30年後。オリジナル3部作へのオマージュがところどころで顔を見せ、思わず顔がにやける。J.J.エイブラムス監督(49)がいかにSWを愛しているのかが伝わってきた。
そもそも予告編にも登場しているように、主人公が砂漠の惑星に住み、ドロイドと出会う…という展開自体がエピソード4をなぞるよう。ミレニアム・ファルコン号に登場するオモチャやハン・ソロのジョーク、チラっと映るキャラが前作から引き継がれていたりと、懐かしさがこみ上げる。ソロ、ルーク、レイアらオリジナル3部作の主要キャラが登場するだけで心が躍った。
(2)興行のゆくえ
公開規模は配給するディズニーの方針で、370館と劇場数しか明かされていない。スクリーン数は800~900とも予想されており、TOHOシネマズ六本木では初日に全9スクリーンを“ジャック”する。
TOHOシネマズ新宿は公開翌日の土曜日、19日だけで8スクリーン、計52回もの上映を予定。TOHOシネマズが一部劇場で料金を200円値上げすることを発表し、物議を醸したが、現在のところ、影響を感じさせない売れ行きだ。
注目は体感型の映画として優れている点。記者が鑑賞したのは3D版だったが、序盤に登場する宇宙戦闘機同士の対決からして、思わず体が動いてしまった。予想されるのが、4Dスクリーンを始めとしたハイスペック上映のプレミアム化だ。
4D上映には「4DX」「MX4D]の2種類があり、稼働する座席や風、匂いなどの“鑑賞プラスα”な体験が売り。大げさに言えば、ディズニーランドの「スターツアーズ」が2時間続く状態とも言える。
参考となるのが、今年8月5日に公開された「ジュラシック・ワールド」の大成功。8日時点で興収95億円を稼ぎ、うち約6億円が4Dによるもの。794スクリーンで公開されたうち、4Dは21スクリーンしかなかったことを考えれば侮れない数字だ。
特にTOHOシネマズ新宿では上映2日前に前売りが発売されるや即満席となる状態が続いた。同劇場の4Dは通常料金に1200円がプラスされ、単価は2Dの2倍近い。わずか108席しかないMX4Dスクリーン1つだけで興収1億円を稼いだという。
「ジュラシック効果」で広がった4Dを始め、大型スクリーンと特別な音響を備えたIMAXなど“プラスα”を兼ね備えた劇場のほぼすべてで上映されることが予想される今回のSW。前回の3部作(エピソード1~3)の公開時には、3Dすら一般的ではなく、体感型の上映が珍しくなくなってから初のSWとも言える。2Dで見た後に3D、4Dで、といったリピーターも予想され、どこまで興収を伸ばすかにも注目が集まる。
(3)日本仕様?
来日会見では、エイブラムス監督が「実はこの作品の中で、ある惑星が『タコダナ』という名前なんですが、それは私が初めて日本に来たとき、高田馬場のホステルに泊まったことから名付けました」と明かし、報道陣を沸かせた。残念ながら、ただ鑑賞しただけではどこに登場したのか、よくわからなかったが…。
とはいえ、SWの生みの親ジョージ・ルーカス監督(71)が、黒澤明監督の影響をシリーズに投影させたのは有名な話。黒澤作品の常連だった三船敏郎さんにオビ=ワン・ケノービやダース・ベイダー役をオファーしたとの逸話も残るほどだ。
エイブラムス監督も本作を製作するに当たって黒澤作品を見返したことを明かし「影響を受けていると思います」と語っている。日本的要素を探してみるのも楽しみの1つかもしれない。
余談だが、個人的には、新ドロイド・BB-8のキュートさに胸を締め付けられた。サッカーボールの上におもちが乗ったようなデザイン。シンプルな造形ながら感情表現の豊かさに驚かされ、まるで子犬を見ているような、なんともほんわかした気持ちにさせられた。
賛否両論あった前3部作(エピソード1~3)から10年。新3部作は、どのような評価を受けるのか-。フォースと共にあれ。
(デイリースポーツ・古宮 正崇)