今夏の参院選に自民党の公認を受け比例代表で立候補することになった女性４人グループ、ＳＰＥＥＤの今井絵理子（３２）が９日、東京都千代田区の自民党本部で会見した。聴覚障害のある息子（１１）を持つシングルマザーの今井は、社会福祉の充実に意欲を示し、会見中は手話を交えながら政治への思いを明かした。また、当選後も音楽活動を継続する考えを示した。

　“手話会見”に真剣な思いが表れた。笑顔で姿をみせた今井は「初めての場所なので緊張していますが、きちんとお伝えしたいと思います」とあいさつすると、手話での通訳を交えて心境を明かした。

　立候補を決意した理由の一つに息子の存在を挙げた。「障害を持つ子供、育てるお母さんたちが、明るく希望を持てる社会作りをしたい」と福祉の充実を“公約”し、「私は政治は希望と思います」と語気を強めた。

　芸能活動以外に、ＮＨＫの手話番組出演や障害者福祉の講演活動を行ってきた今井の姿に自民党の山東昭子参院議員（７３）が注目し、１月１８日に立候補を要請された。悩んだ末、「（国政が）より自分の思い、お母さん方の声を実現できる」と出馬を決意。息子に「もっと忙しくなっていい？」と相談すると、「ママ、手話をたくさんの方々に広めてほしい」と後押しされたという。

　苦楽をともにしたＳＰＥＥＤの仲間からも力強い言葉をもらった。決断を報告すると、「エリが決断したことだったら私たちは応援する」と約束されたという。今年でデビュー２０周年。今井は「歌も一緒に両立させながら、歌い続けていきたい。歌の力が役立つ」と当選後も音楽活動を続ける考えを示した。

　地元・沖縄の米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設については「負担軽減は共通の思い。沖縄の声を聞き、真剣に取り組みたい」と話すにとどめた。

　安倍政権が掲げる“１億総活躍社会”実現へ向け、自民党の目玉候補となり得る存在。人気歌手が、抜群の知名度と真摯（しんし）な姿勢でアピールしていく。