丸山和也参院議員 辞職勧告突っぱねた
自民党法務部会長の丸山和也参院議員(70)は18日、オバマ米大統領に対し「奴隷」との表現で人種差別と受け取られかねない発言をしたことに関し、議員辞職を否定した。国会内で記者団に「差別的発言を意図的にしたなら、そうかもしれないが、私の場合は違う」と強調、発言について重ねて陳謝しながら「良心に恥じるところは何もない」と語った。民主、社民、生活の野党3党は、丸山氏の議員辞職勧告決議案を参院に共同提出した。
丸山氏は17日の参院憲法審査会でオバマ氏について「今、米国は黒人が大統領になっている。黒人の血を引くね。これは奴隷ですよ」「まさか米国の建国当初には黒人、奴隷が大統領になるとは考えもしない」と述べ、審査会後に陳謝した。
自民党の谷垣禎一幹事長は18日、丸山氏と国会内で会い、口頭で注意。丸山氏は憲法審の幹事と委員を18日付で辞任したが、記者団を相手にボルテージを上げた。
「問題を引き起こしやすい発言をしたと反省しているが、批判は見当違いだ。人種差別的な発言ではない」と反論。「(奴隷制廃止を訴えた)リンカーン大統領も(黒人指導者)マーチン・ルーサー・キング牧師も尊敬している。尊敬の念がほとばしった言葉がどうして人種差別の言葉と受け取られるのか全く驚きだ」と説明し、「批判は不条理で、非常に怒りも覚える」と切って返した。
夏の参院選を控え、自民党内で相次ぐ不祥事や失言。公明党の漆原良夫中央幹事会会長は記者会見で「緊張感の欠如だ。撤回すれば済むという問題ではない。こういうことが重なると、ボディーブローのように政権に響いてくる」と不快感をあらわにした。
安倍晋三首相は谷垣氏と官邸で会談し、「野党の攻め手も失言などに向いている」として党内の引き締めを指示。谷垣氏は「政権に復帰して3年たち、少し脇を締めていかねばならない時期かもしれない」と、早期収拾に全力を挙げる考えだ。