内藤やす子、脳出血から奇跡の復帰
2006年に脳出血で倒れて長期療養中だった歌手の内藤やす子(65)が10年ぶりに仕事復帰することになり、26日、都内で会見した。後遺症の記憶障害で夫以外の人間を覚えていないなどの逆境を乗り越え、デビュー40周年の節目にカムバック。右半身にマヒが残り、会見中もろれつが回らない場面もあったが「ご覧の通り元気になりました」と回復をアピールした。
「弟よ」「想い出ぼろぼろ」「六本木ララバイ」などのヒットで知られる内藤は06年5月、福島県内でのディナーショー中に脳出血で倒れ、緊急搬送された。手術は受けず、2カ月後に退院してからは長期の自宅療養に入り、経過は一切公表していなかった。
後遺症の記憶障害で自分が歌手であることさえ忘れてしまっていたが、唯一覚えていた人物だった21歳年下の夫の懸命な介護もあって、再びマイクを握るまでに回復。数年分の記憶は戻らないままだが、知人の名前などは覚え直したという。
闘病生活を振り返った内藤は「つらかったことはないんです。亭主や周りの人がつらかったんじゃないでしょうか」と、周囲のサポートに感謝。1年前に所属事務所から仕事復帰を持ち掛けられて「皆と交ざって仕事がしたいと思い、即答でした」と決断、ボイストレーニングに取り組むなど準備を重ねた。
関係者によると、療養中はふさぎ込むこともあったという。この関係者は「ここまで来られたのは奇跡。歌以前に人間として生きていけるかの心配でしたから」と証言した。
1977年に大麻取締法違反で逮捕(起訴猶予)されただけに、今回は“2度目”の復帰。「マリフアナ事件のときはバカなことをしました」と反省の弁も交えつつ、「今度は皆さんへ私がお返しします。生きるってどういうことか、思い返しながら」と波瀾(はらん)万丈な歌手人生の再開を宣言していた。