“攻めダルマ”映画 蔦監督にカンパを

 攻めダルマの愛称で親しまれた徳島・池田高校野球部の故蔦文也元監督のドキュメンタリー映画「蔦監督-高校野球を変えた男の真実」の上映会が、あす9日から東京・新宿のK’s cinemaで始まる。製作したのは孫の映画監督・蔦哲一朗氏(31)。昨年末に5年がかりで完成させたが、高校野球の映像を使用したため、異例の無料上映を余儀なくされている。哲一朗氏は本紙の取材に、上映拡大のためのカンパを訴えた。      

 蔦監督の下で82年夏、83年春を連覇した水野雄仁氏(元巨人)、82年夏の優勝投手・畠山準氏(元横浜)もかけつける東京での上映を前に、哲一朗氏が「入場料をいただくことができないので、カンパをお願いしてます」と切実な声を上げた。

 映画は、水野氏や畠山氏ら野球部メンバーや関係者、蔦監督を支え野球部の寮母も務めた妻キミ子さん(昨年2月死去)らの証言で、蔦監督の実像を描く。映画には「さわやかイレブン」や、KKコンビを擁したPL学園との対決など球史に残る名場面も織り込まれたが、それらの高校野球映像は商業目的では使用できないため、無料上映という異例の形式がとられている。

 製作・監督の哲一朗氏は「興行的に考えれば映像を使わずにやるという選択もありましたが、監督としての自分が勝った。映像がなかったら無理でした」と内情を明かした。

 監督としてのこだわりを優先した結果、入場料収入はゼロ。上映の続行に苦労はつきまとうが、自ら証言を集め、作品を完成させたことで、どこか遠い存在だった祖父を身近に感じることになったという。「有名になった後に生徒が離れていったり、周囲とのあつれきもあった。じいちゃんは人間的に未熟な部分があったんじゃないかと分かり、愛着もわいてきた」と話す。

 地元・徳島では9カ所で無料上映会を実施し、3500人超が来場。名将の輝かしい功績だけではなく「裏話や淡々とさめた部分も描いた」(哲一朗氏)作品に、地元の反応は「分かれている」というが、「蔦文也の新しい一面を見てもらって愛してもらえたら。徳島の田舎にこういう人間がいたことを知ってもらいたい」と願う。

 音楽はあの新垣隆氏が担当。東京での一週間の無料上映後は、名古屋(16~22日)、大阪(5月中旬)で上映予定。東京初日は、哲一朗氏自ら観客にカンパを呼びかける。

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