第2回松田優作賞は河村みはる氏
映画脚本賞「松田優作賞」の第2回受賞作が12日、主催者から発表され、グランプリ作品は河村みはる氏の「春の約束」、準グランプリ作品は山田明氏の「トカレフクラブ」と市村安海氏の「琉球(レキオ)の翼」の2作に決まった。
河村氏は山口県山口市在住の団体職員で42歳。定年退職を迎えた男性が、がんで亡くなった妻が生前に行きたいと願っていた福島県三春町の日本三大桜の一つ「滝桜」を思い出し、福島に向かうというストーリー。河村氏は受賞を受けて「映像化され、作中の『桜』がたくさんの方の心で花開くことを祈ります」とコメントした。
1989年に40歳の若さで死去した名優・松田優作さんが生前こだわった「新しい可能性を持った意欲あふれる、魂がこもった映画脚本」を山口県から輩出することを目的として、2012年に同県の「周南『絆』映画祭」の中に設立された脚本賞。第1回受賞作「百円の恋」が日本アカデミー賞で最優秀脚本賞(足立紳氏)と最優秀主演女優賞(安藤サクラ)に輝くなど、国内外で数々の賞を獲得し、第2回受賞作が注目されていた。
72の応募作から絞られた5作品を対象に、優作さん夫人で女優の松田美由紀、盟友で脚本家の丸山昇一氏、映画プロデューサー・黒澤満氏による最終選考を経て決定した。
松田美由紀は「『百円の恋』から、もう4年!小さな小さな映画祭から生まれた脚本が、たくさんの賞を頂きました。そして第2回、今回もまたたくさんの才能に出会いました。選ばれた作品が映画になることを祈っています。映画を愛した松田優作の冠がついた作品が、たくさんの方々に届きますように!」とコメント。
黒澤氏は「『春の約束』は妻に先立たれた夫の心情を丁寧に描いており、妻が残した『約束』とは何か?という物語の展開も面白い。福島の桜の描写も印象的で、ぜひ映画になったものを観てみたいと思う脚本だった」と評価。丸山氏は「作者の熱意や想いがあるかが大切で、それこそ松田優作氏が望んだ『脚本』である。3人の方には更なる手直しをして精度を上げて頂き、その期待も込めて賞を贈りたい」と評した。