氷室京介、LAST GIGS完全燃焼
ロック歌手の氷室京介(55)が23日、ライブ活動無期限休止前最後の公演「LAST GIGS」を東京ドームで行った。1988年4月にBOOWYの解散ライブを行い、以後ソロアーティストでは最多12度の公演を行った思い出の“ライブハウス”。「ONLY YOU」「ANGEL」などバンド、ソロの曲を織り交ぜる集大成ステージで、5万5000人を総立ちに。81年に「暴威」として幕を上げた35年間のライブ人生に終止符を打った。
最後のときを迎えたくなかった。客席の5万5000人だけでなく氷室自身も同じ気持ちだった。「今夜は死ぬまで終わんねーぞ」と絶叫して始まったアンコールは3度続いた。ラストソングはBOOWY時代の代表曲「B・BLUE」。総立ちでこぶしを振り上げるファンとの合唱を終えると「I LOVE YOU!」と呼びかけ、投げキッスでステージを降りた。
「ハロー、東京ドーム!最後の夜だぜ」とあおって始まったライブは「Dreamin’」「ANGEL」などバンド、ソロ、それぞれの時代の楽曲を織り交ぜた35曲を披露。歌い残しのないように次々とヒット曲を繰り出した。ファンは氷室のハスキーな歌声から左足をアンプにかけて歌うアクションまで、耳に目に焼き付けた。
81年5月、BOOWYの前身バンド「暴威」として東京・新宿LOFTで13人の前で第一声をあげてから数々の伝説を作ってきた。東京ドームでのライブはソロ歌手最多の12度。バンド時代の2度も含め、14度行った。冒頭のあいさつ「ライブハウス東京ドームへ、ようこそ!」は、その後、同会場に立った多くの後輩ミュージシャンが真似している。
しかしロック歌手の職業病ともいえる両耳の難聴は「水の中に潜って歌っているような感じ」と訴えるほど深刻化。体力的な限界も考慮し、重い決断を下した。「自分の中で気持ちの整理がついた。12歳のころはろくな大人にならないと思ったけど、たくさんのエネルギーをもらえる人生を35年。本当に感謝しています」とスッキリした表情を見せた。
今後については「しばらく自宅のロスで休養する」と関係者。本人は「時間をかけてアルバムを作って、60歳に『還暦』というタイトルで出そうかな」とジョークまじりに創作意欲をアピール。ファンを熱狂させる日が再びやって来る可能性をのぞかせていた。