ゾウ「はな子」 国内飼育最高齢で死す
戦後に来日して人気を集めた雌のアジアゾウ「はな子」が26日、飼育されていた井の頭自然文化園(東京都武蔵野市)で死んだ。国内で飼育されたアジアゾウの史上最高齢記録である69歳だった。老衰とみられる。26日午前8時半頃、飼育員が室内で横たわっているのを見つけた。立たせようとしたが徐々に反応がなくなり、午後3時すぎに死んだ。
同園の永井清園長は「静かに、穏やかに逝った」と最期の様子を振り返り、「本当に残念でならない。日本一愛されたゾウ。愛してくれた人に感謝したい」と話した。
永井園長によると、最近は足腰が弱っていたが、健康状態に異常はなかった。25日朝は普段通りで、夕方は気だるい様子だったという。アジアゾウの寿命は60~70年とされる。
はな子は1947年タイ生まれ。49年に上野動物園に贈られ、戦時中に餓死させられたとして知られるゾウ「花子」にちなんで名付けられた。
井の頭自然文化園では54年から飼育され、6年後に飼育員を死亡させる事故を起こしたことから、鎖につながれていた時期もあった。だが、その後の飼育員との交流が本やドラマになり、多くの来園者に親しまれるようになった。
2007年には反町隆史や北村一輝が出演したドラマ「ゾウのはな子」が放送され、今年もNHK総合「ドキュメント72時間」が2月26日放送分で「真冬の東京 その名は“はな子”」として取り上げていた。
同園を娘と孫と訪れた武蔵野市の石島美恵子さん(66)は「子供の頃からよく見に来ていたので寂しくなる」と話し、三鷹市の林美香さん(36)は「お疲れさまでしたと言いたい。よく頑張ってくれた」とねぎらった。