石田純一 出馬断念にも政界への意欲あり…取材で見せた究極のいい人
俳優・石田純一(62)の政界挑戦は、苦渋の決断の末、断念という結果に終わった。東京都知事選(31日投開票)への出馬を8日に条件付きで表明したが、11日には撤回。「野党統一候補での出馬」という条件が、スポンサーなどとの交渉リミットである11日までに調整できなかったことが大きな原因だったという。
9日、大阪市内でイベントに出演した石田を取材した。JR新大阪駅で対応した石田は、取材されるのを待っていたかのような様子で「どうもどうも」と報道陣の問いかけに笑顔で応じた。「究極に人がいい」というのが、彼に対する印象だ。
石田を直撃したのは2001年、息子で俳優のいしだ壱成が大麻取締法違反(所持)で現行犯逮捕されことについて取材した時以来。その際も、ガードする関係者の間から顔をのぞかせて対応。一切、逃げ隠れすることはなかった。
今回の都知事選は市民連合から出馬を求められ、条件付き出馬を表明。出演番組やCMなどの差し替えによる弁償が数千万円単位で発生するリスクも背負い決断した。
出馬表明の直後からテレビ番組などに関わるスポンサーとの話し合いに追われた。「全部お話をさせていただき、ご迷惑をおかけしている所には何らかのことになる」と、自ら直接会談や電話交渉を行い、おわび行脚を続けた。
不出馬を表明した11日も、午前中に成田空港で報道陣に囲まれて取材対応。情報番組によると、石田は前日の10日に九州入りし、スポンサーなどとの調整に奔走。翌朝帰京し、会見に挑んだという。空港での服装は9日に訪れた大阪での格好と同じ、紺色のジャケットにストライプのシャツ、ベスト。着の身着のままで、調整に奔走したことが推測される。
都知事選出馬は見送ったが、政界への意欲はあるようだ。断念会見でも「1カ月後の衆院選だと間に合わない。メディアの使命として、視点を提供するということもあると思う」と、タレントとしての立場を生かした活動は続けていくようだ。
今回の出馬表明会見では、具体的な政治理念や政策などについては言葉が足りず、詰めの甘さも露呈した。出馬を断念する2日前の大阪でも「準備不十分なままで突入した。準備万端で行ける時があれば」と認めていた。
「市民連合の方々の熱意を受け止めたい。今度は用意をして」と意欲をみせていた石田。満を持して政界に進出する時には”人がいい”だけでない、政治家としての一面が見られるだろうか。
(デイリースポーツ・中野裕美子)