ゴジラ新作3つのポイント 「エヴァ」「原点回帰」「脱・着ぐるみ」

 国産ゴジラの12年ぶり新作となる映画「シン・ゴジラ」。公開が29日に迫った現時点で、いまだ詳細は謎のベールに包まれたままだ。「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの生みの親、庵野秀明氏(56)を総監督に迎え、ゴジラのビジュアルや「ニッポン対ゴジラ。」のキャッチコピーなど限られた情報だけを解禁してきた。どんな内容なのか。見どころはどこか。3つのポイントで解説する。

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 (1)エヴァンゲリオン

 通常は公開の数カ月前からマスコミ向けの試写が行われるものだが、今作は試写状すら作られていない。取材のための、ごく限られた報道関係者のみが作品を目にしており、公開まで公表してはいけないネタバレ禁止事項が複数存在する。

 庵野氏は「(配給の)東宝にしては珍しいくらい、いろんなことを秘密にしました。先入観なしで見ていただきたいと思っています」と意図を説明。「エヴァ」新劇場版のプロモーションと同じように秘密主義を徹底してきた。

 映画自体、ゴジラを「エヴァ」的に解釈したともとれる内容。ゴジラを「エヴァ」に登場する謎の敵・使徒と重ね合わせることもでき、歴代でも段違いに“未知の生物”感が強い。

 日常風景にモノローグを挿入する演出や、一度にカメラ10台近くを使って実現したテンポのいいコマ割りは「エヴァ」でも見られた手法で、懐かしさを感じた。映像以外にも「エヴァ」ファンへのサービスがあり、「え?ここでこれ!?」と驚くこと請け合いだろう。

 (2)原点回帰

 映画では、突如、東京湾に現れた謎の巨大生物(のちにゴジラと名付けられる)に対し、政府がどのように対応、対処していくかを徹底的に突き詰めていく。序盤から洪水のような情報量で、SFフィクションをリアリティーあるものとして描写。お役所仕事で物事が進まないなど現実的問題をコミカルに見せつつ、日本の官民が総力を結集してゴジラに挑む姿を緩急自在に描く。

 目指したのはシリーズ第1作目、1954年版ゴジラ。まだモスラやラドンなどのライバル怪獣がおらず、誰もゴジラという存在そのものを知らない日本が舞台の原点だ。

 庵野氏は「怪獣映画の面白さは、現代社会に異物が出てくる面白さ。怪獣映画の完成度は最初のゴジラ(54年版)に集約していると思うので、引き受ける以上はあの面白さに少しでも近づきたかった。だから同じようなことをやるしかないんです」と説明。2014年公開のハリウッド版「GODZILLA/ゴジラ」が、国産2作目以降の怪獣対決を踏襲しているのに対し、本作は60年以上の時を超えて初代を再構築した1作となっている。

 (3)脱・着ぐるみ

 本作のゴジラはシリーズ史上初めて“着ぐるみの伝統”を捨て、フルCGで作られた。庵野氏は「今回の世界観では、CGの持っている、人間的でない部分を生かそうと思った」と狙いを明かす。

 特徴的なのは、感情を読み取ることのできない「目」。絶対的なコミュニケーションの不在を象徴する不気味さで、恐怖心をあおる。ピクセル単位で修正し「細かい視線の誘導をしている」という、こだわりようだ。

 VFXの担当は「STAND BY ME ドラえもん」「寄生獣」などを手がけてきた「白組」。前作からの12年で進化したCG技術の粋を詰め込み、庵野氏は「日本映画のCGに対する考え方が変わると思っている」と自信を見せる。

 初代へのリスペクトを現代の技術で昇華し、「神」「新」「真」…と多様に解釈できるシン・ゴジラは、今まで見たことのないゴジラ像だけに、賛否両論あるだろう。受け入れられ、全国の劇場で“大暴れ”となるか。怪獣王の行方に注目したい。

(デイリースポーツ・古宮正崇)

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