ジカ熱だけではなく豚インフルにも警戒を リオで死者も、冬に向かうこれから流行か

 リオデジャネイロ五輪の開幕が迫るブラジルで豚インフルエンザウイルスが流行し、一部の外国通信社は今年1月からの死者数が1000人を超えたと伝えている。蚊が媒介するジカ熱も拡大し、衛生当局は警戒を強めている。兵庫県芦屋市「松本クリニック」の松本浩彦院長に豚インフルエンザの危険性と予防法などについて聞いた。

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 リオ・オリンピックが開幕間近です。治安問題から海の水質汚染、ジカ熱など、健康面の不安までいろいろ話題となっていますが、それよりもいま、ブラジルでは「豚インフルエンザ」が、2009年以来の大流行をしています。致死率は20%弱。

 ブラジルはこれから気温が下がり冬へと向かい、これからが流行の本番といえます。実はこれが一番恐ろしいニュースではないでしょうか。リオデジャネイロ州に限っても、150人以上の感染者と50人近い死者が出ているとの情報もあり、今後さらに増え続けると思われます。

 大ざっぱに説明しますとインフルエンザ・ウイルスはたいがいの場合、鳥の体内で変異します。鳥の中で産まれた新種ウイルスは、そのままではヒトに感染できません。しかし鳥のインフルエンザは豚には感染できます。そしてヒトのインフルエンザも豚に感染します。

 つまり、豚の体内で鳥に特有だったインフルエンザ・ウイルスと、ヒト特有のインフルエンザ・ウイルスが共生することで、お互いのウイルスが情報交換し合って変異し、厳密には「レセプターの結合性が変わる」というのですが、鳥インフルエンザ・ウイルスはヒトに対しても感染性を獲得します。

 これが新型インフルエンザの産まれ方だと考えて下さい。ですので元々は鳥発祥のものでも、ヒトに感染する時には豚インフルエンザと呼ばれます。ただし今回ブラジルで問題になっている新型豚インフルエンザには、タミフルが効くとのことですので、日本にいる場合はまず大丈夫と言ってかまいません。

 ブラジルと日本の医療事情の違いは大きく、ブラジルではこの新型豚インフルエンザの致死率は20%になりますが、日本では普通のインフルエンザで致死率が0・05%。もしこの新型インフルエンザが日本に入ってきても、感染者は出たとしても、死者はおそらく0・05%を大きく上回ることはないと楽観して良いと思います。

 現地で気をつけることは、とにかく、現状を知っておくこと、つまり今ブラジルでは怖い新型インフルエンザが流行しているということです。前述の通り、私が集めた情報を解析する限りこの新型インフルエンザは、適切な治療さえ受ければ致死率はそんなに高いとは考えられません。

 実は私は北京オリンピックに帯同したので知っているのですが、五輪の選手村はだいたい国別に棟が別れており、日本人選手が居住する棟の1階には医務室があります。そこには日本の国立スポーツ科学センターをはじめ、多くの病院から帯同した日本人医師が常駐していますので、日本人選手はまず感染しても大丈夫でしょう。

 ただそこは選手村ですので、観戦、応援、観光などで行かれる方が診察を受けることはできません。リオに行く前に、日本語が通じて設備の整った医療機関を確認しておくこと、そして、おかしいなと思ったら、新型インフルエンザを疑ってすぐに受診することが大切です。

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