橋之助改め芝翫、不倫騒動イジられた 大先輩・菊五郎の“口撃”に客席大爆笑
歌舞伎俳優の中村橋之助改め八代目中村芝翫=しかん=(51)の襲名披露興行「芸術祭十月大歌舞伎」が2日、東京・歌舞伎座で初日を迎えた。夜の部の口上では、尾上菊五郎(74)に“不倫騒動”をイジられる一幕も。妻で女優の三田寛子(50)は開場前から歌舞伎座の入り口に立ち、献身的に梨園の妻としての務めを果たした。
歌舞伎界を代表する大名跡の襲名披露口上で、予想外の爆笑が巻き起こった。粛々とあいさつが続く中、菊五郎が「新芝翫さん、今までのように、きょろきょろとしているわけにはいきません」と忠告。満員の客席がどっと沸いた。さらに「3人のお子さんをしっかり育てて…」と続けると、拍手と笑い声はひときわ大きくなった。
芝翫は9月、一部で京都の芸妓との不倫騒動が報じられ、同14日に釈明会見。16日には妻で女優の三田寛子(50)も取材に応じるなど大きな話題となった。その騒動にあえて触れた大先輩の“口撃”に、頭を下げていた芝翫も肩を震わせ、笑いをこらえるのに必死な様子だった。
芝翫自身は「誠に大きな大きな名跡でございますが、先祖の名を汚さぬよう、なお一層、芸道に精進いたす所存でございます」と神妙な表情で宣言。客席からは「成駒屋!」の歓声が鳴り響いた。
舞台では、中村国生改め四代目中村橋之助(20)、中村宗生改め三代目中村福之助(18)、中村宜生改め四代目中村歌之助(16)の息子3人も同時に襲名。昼の部「幡随長兵衛」と、夜の部「熊谷陣屋」では親子4人の共演で沸かせた。
思わぬ形で注目された襲名披露の初日だったが、三田は多くのひいき筋や来客に笑顔で対応し「頑張ります」とばかりに小さくガッツポーズをする場面も。三田の写真を撮ろうとする客を、関係者が「奥さまの写真はご遠慮願います」と制止する一幕もあった。
晴れ舞台の口上を見守った三田は「本当にうれしかったです」と感無量の面持ち。終演後は、家族全員が芝翫の運転する車に乗り、芝翫と助手席に座った三田は窓を開けて報道陣に笑顔で会釈、仲むつまじく家路に就いた。