サブちゃん愛馬Vで『まつり』絶唱 必死のリハビリで生観戦「明日から歩けそう」
「ジャパンカップ・G1」(27日、東京)
再び競馬場に歌声が響いた。3頭の外国馬を迎えて行われた国内最高峰の一戦は、1番人気に推されたキタサンブラックがV。レース史上3頭目となる逃げ切りでG1・3勝目をゲットした。9月に手術を受け、この日の生観戦を目標にリハビリに励んだ歌手の北島三郎オーナー(80)にとっては、これ以上ない快気祝いに。次走は昨年3着に敗れた有馬記念(12月25日・中山)。紅白から有馬記念へ-サブちゃん&ブラックが年末の“国民行事”で今年も主役を務める。
「サブちゃ~ん!おめでとう~」。レースが終わっても帰らずにいた約9万人からの祝福に当然、エンターテイナー・北島三郎の血は騒ぐ。
「オレが歌わないわけにはいかないでしょう!」。自ら観客に手拍子を求め「もっとゆっくり」とリズムをリクエストまでして『まつり』を絶唱。最後は「うおぉ~~!」と雄たけびで締めた。
その後の勝利インタビューでも、途中から司会者を振り切り、約5分間のうち4分は1人で歌い、喜びを語る“独壇場”。それだけうれしかった。「興奮より胸が熱くなった。涙がこぼれたよ」。自身3度目のG1制覇は格別だった。
8月下旬に自宅で転倒。頸椎(けいつい)の痛みが悪化。9月12日に頸椎症性脊髄症の手術を受け、一時は車いすの生活を強いられた。それでも「馬もオレもJCが目標」とこの日の生観戦を目指してリハビリに励んだ。
迎えたこの日。まだ満足に歩ける状態ではないが「(ジャパンCが今回)第36回。馬体重も5“36”キロ。オレは1936年生まれ」と三郎(36)ネタを語るなど笑顔を取り戻していた。そして、勝利の瞬間は、痛みで上がらない両腕を天に突き上げ、北海道から招待した兄弟と抱き合い涙を流した。
「武さんが『勝って快気祝いに』と言ってくれた通りになって。ありがたい。明日から歩けそうだ」。首の状態を考慮して本業の本格復帰は年明けになるが、愛馬の活躍は何よりの良薬となった。
次は暮れの有馬記念。勝てば年間G1・3勝となり、年度代表馬の座も“当確”に。「オレより人気が出てきた」と冗談を飛ばしながら「キタサンブラックのおかげで大きな夢と希望を頂いた」と昨年3着に敗れたグランプリのVを期待する。年末は紅白などの本業で魅了してきたサブちゃん。今年は、愛馬の走りと競馬場での歌声で日本中を沸かせる。