【SMAP検証】芸人以上に笑いに厳しかった5人
【SMAP解散企画・SMAPとバラエティー】
「俺たちは、こういうこともやってかなきゃいけねーんだよッ」“聖地”西武園ゆうえんちでのバラエティー番組収録前、身体を張って笑いをとる企画への不満を、ヘアブラシを床に投げつけることで爆発させた稲垣吾郎に対し、リーダーの中居正広はこう言って一発、殴ったのだという。
「あのときの部屋、まだあったね」と20周年記念イベントのステージで懐かしんだ中居。「ジャニーズの歴史の中でも本当にすごかった」「あれこそ社会現象だった」と中居自ら分析する光GENJIの「次は俺たち」とデビューするも、各局に1~2本あった歌番組が激減。SMAPはバラエティー番組に活路を見出すことを余儀なくされた。
とは言え、芸人の森脇健児やバラドルと呼ばれた森口博子と共に『夢がMORIMORI』(フジテレビ系)に出ていた頃はまだ何をすればいいのかわからず、オチが決まらなかったり、リアクション一つにも遠慮が見られたものだ。が、その頃からである。「SMAPは番組が終わってから、再集合して反省会をやっているらしい」という噂が業界に広まった。「若手芸人でも最近はやらなくなったのに」と大物タレントらが彼らを評価し始めたのだ。
共演が多かった明石家さんまがいまだに若手芸人に話すエピソードがある。それは、ビートたけしらと大型特番に出ていた際、SMAPのヒット曲『がんばりましょう』の一節を合図に共演者らがリアクションをとることになった。さんまが「ここに振りはないんか」と聞くとSMAPからは「ないです」との答えが。しかし、わずか20分の休憩を挟んで収録が再開され、また『がんばりましょう』の一節が流れると、彼らは即興で考えた派手な振りでその場を盛り上げ、さんまもたけしもSMAPに追随。コーナーはおおいに盛り上がったという。
中居、草なぎ剛、香取慎吾の3人は『笑っていいとも!』でタモリからも笑いを教わった。3人の伝説の舞台『スマシプ』でのコントは、客いじりなどというユルイことは一切せず、絶妙の間とメリハリ、なりきりぶりだった。
芸人と同じか、それ以上に笑いに厳しかった5人。いまでは当たり前になったアイドルのバラエティー出演の道筋を彼らが示してくれたことは間違いない。
(放送作家・山田美保子)