【SMAP検証】ドラマや舞台でもアイドルを超越した逸材
【SMAP解散企画・SMAPとドラマ】
「お芝居の好きな座長さんで本当に良かった」とは『HERO』(フジテレビ系)で木村拓哉と共演した吉田羊の弁。「あるよ」のバーカウンターで管を巻き、延々愚痴を言い続ける吉田のアドリブに木村が4分以上も「付き合ってくれた」というのだ。「打てば響くのに肩の力は抜けている稀有(けう)完璧な役者さん」とも。
紅白や朝ドラ、大河、などと共に、木村の主演ドラマは常に視聴率が取りざたされる。「数字をとって当たり前」「社会現象になって当たり前」というプレッシャーの中、あれだけの存在感で輝きを放ちながら記録を作り続けている木村は、間違いなく日本を代表する俳優の一人と言えよう。
女性ファンを虜(とりこ)にするだけでなく、木村が演じた役に憧れ、その職に就いた男性ファンも数知れず。私がいま『バイキング』(同)で共演している弁護士法人・響の徳原聖雨氏は、『HERO』を見て弁護士を志した人。特番で木村と共演もしており、「僕の人生を変えてくれた」と目を輝かせる。
木村と同じく「ドラマ班」と呼ばれた稲垣吾郎は、実は5人の中で最初に連続ドラマに主演している。ミュージカルや舞台も含め、「吾郎ワールド」が間違いなくあり、度々タッグを組む脚本家が“あて書き”するため、稲垣の素顔を覗(のぞ)き見しているかのように思えることもあれば、『No.9~不滅の旋律~』のように、ベートーベンが乗り移ったかのような狂気を見せてくれることもある。
稲垣の俳優人生で特筆すべきは、映画『十三人の刺客』で「主演ではない」「とてつもない悪役」を演じたこと。ここからドラマでも味のある脇役をやることが増えた稲垣がSMAPに持ち帰ったものは大きかったのではないか。
香取慎吾の演技について、大河ドラマや映画などで組んでいる三谷幸喜氏が意外な評価をしている。それは「テレビの枠に収めておくには、もったいない人なのではないか」香取主演の舞台『オーシャンズ11』を見たときの氏の感想である。確かに舞台狭しと華麗に動き回る香取は、どこから見ても華があって、セクシーで、生歌もダンスも素晴らしく、外国のミュージカルスターのようだったことを私も憶えている。
連続ドラマ主演が97年と、メンバーでもっとも遅かった草なぎ剛は、とにかく市井の人を演じるのがうまく、実は視聴率俳優の一人でもある。その草なぎの連ドラ主演が決まったとき、中居正広はSMAPというグループの強さを確信したという。
現在、日本一のMCと言っても過言ではない中居は、ドラマの現場でも組み立て方がうまく、『味いちもんめ』(テレビ朝日系)から『ATARU』(TBS系)まで、振り幅の広い役柄を楽しみながら演じるタイプだ。 俳優・SMAPは、ドラマや映画や舞台でも、アイドルのそれを超越した逸材なのである。(放送作家・山田美保子)
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