大竹しのぶ“希代の悪女”映画で殺人犯
女優の大竹しのぶ(58)が映画「後妻業」(2016年公開)に主演し、資産家の老人たちと遺産狙いで結婚、不審死させていく連続殺人犯に扮することが3日、分かった。
共犯の結婚相談所所長を豊川悦司(53)が演じ、標的の老人たちには笑福亭鶴瓶(63)、津川雅彦(75)ら個性派が顔をそろえる。配給の東宝は、社会問題を娯楽性高く切り取った「ミンボーの女」などの伊丹十三監督作品のような“人間喜劇”を目指すという。
原作は作家・黒川博行氏(66)の直木賞受賞第1作として昨年、発表された長編小説だ。妻に先立たれた資産家に近づき、後妻となっては遺言公正証書を作らせ殺害、遺産を奪う…。衝撃的な内容もさることながら、刊行直後に関西で同様の手口による連続殺人事件が明るみに出て、予言的な側面でも話題になった注目作だ。
10数社のオファーが殺到する中、決め手となったのが「喜劇」と「キャスト」。社会問題を扱ってはいるが、大阪を舞台に、漫才のような関西弁のセリフや欲望をあらわにした人間の滑稽が原作の魅力。映画でも「伊丹作品のような人間喜劇」を目指し、黒川氏も「笑わせてくれ。重厚なドラマはいらない」と要望しているという。
配役について黒川氏は「希代の悪女を大竹さんが演じると聞いた瞬間、見たい!と思いました」と太鼓判を押した。日本を代表する実力派女優が、特徴的な甘い声とエロスで津川や伊武雅刀(66)、森本レオ(72)、六平直政(61)を籠絡(ろうらく)。冷酷な本心との“天使と悪魔”を演じ分ける。
最大の“難敵”となる不動産屋を演じる鶴瓶とはベッドシーンもあり、大竹は「初めて芝居をする鶴瓶さんと、どんなことが起こるのか、すごーく楽しみで、ちょっと怖い」と覚悟を決めている。
映画は現在撮影中で9月中旬クランクアップ、来年1月完成予定。映画「愛の流刑地」などの鶴橋康夫監督(75)による、名優たちの演技合戦に注目だ。