【芸能】健さん命日に拓郎のすごさ実感

故高倉健さん
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 11月10日は昨年、83歳で亡くなった俳優・高倉健さんの命日だった。BS、CSを含めたテレビ各局は、健さんが出演していた映画を何本も放送していたが、私自身は1982年公開の「海峡」を見ながら、何十年かぶりに“あの歌”を思い出してしまった。

 「海峡」は北海道と本州を結ぶ青函トンネルに挑んだ、健さん演じる国鉄マンの姿を描いたものだ。青函トンネルは54年の台風で青函連絡船「洞爺丸」が函館港外で転覆した事故で、本格的に計画が進んだ。事前の調査を踏まえ、本工事に着工したのは71年。映画の舞台も60年代後半から70年代初頭ということになるだろう。

 映画は青森県の竜飛崎周辺をメーンとして撮影された。竜飛崎が出てくる歌といえば、石川さゆり(57)の「津軽海峡・冬景色」(77年発売)があまりにも有名だが、実はあの吉田拓郎(69)が、一足早い74年に「竜飛崎」という曲をシングルレコードとして発売しているのをご存じだろうか。

 「竜飛崎」は作詞・岡本おさみ、作曲・吉田拓郎のコンビによるもので、「シンシア」のB面として7月にリリースされた。この年は岡本&拓郎コンビが作った「襟裳岬」を森進一(67)が歌い、日本レコード大賞を獲得している。演歌とフォークの融合。日本音楽界のエポックとして語り継がれる年に、拓郎は71年に着工されたばかりの青函トンネルを「竜飛崎」の中でもう歌っていた。

 なぜこの歌を思い出したのか-。理由は簡単で、岡本の書いた歌詞の一説が今も頭の中にこびりついていたからだ。「確かライブで聞いたはずだ」と拓郎のライブラリーを探していたら、やっぱりあった。10代、20代に聞いた「竜飛崎の土手っ腹をぶち抜く」という歌詞は、それだけ鮮烈だったのだろう。

 A面の「シンシア」は覚えている方も多いだろう。拓郎がよしだたくろう名義でかまやつひろし(76)とユニットを組み、71年にデビューしたアイドルの元祖といわれた南沙織さんを歌ったものだ。今では当たり前なユニットや演歌への作品提供など、拓郎の先進性には目をみはるものがある。

 「竜飛崎の土手っ腹にあいた」青函トンネルには、来年3月から北海道新幹線が走る。拓郎が歌にしてから42年、青函トンネルの営業開始から28年の月日がたつ。JR北海道によると、イメージソングは函館出身のロックバンド「GLAY」が担当するということだが、新幹線沿線は知内町出身の北島三郎(79)など、ゆかりの有名人も多い。拓郎にもぜひ一度北海道新幹線に乗っていただきたいと思う。さらに言うなら、かなわぬ夢とは思いながら、もう一度「竜飛崎」をライブで聞きたい!(デイリースポーツ・木村浩治)

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