岡田奈々さん宅にファン強盗 6時間居座る<昭和52年>
【1977年7月16日のデイリースポーツ紙面より】
15日午前七時すぎ、プロダクションボンド企画所属の女優岡田奈々さん(18)=本名矢井弘子さん=が「強盗に入られた」と三田署に届けた。犯人は三十歳ぐらいの男で「ファン」と称しており、六時間も居座ったうえ、金目のものもとらずに逃走したという。
届出によると、岡田さんは十四日午後十時半ごろ、マネジャーと一緒に帰宅、マネジャーが帰ったあとパジャマに着替えてベッドで台本を読み、せりふの勉強をしていた。十五日午前一時すぎ、両目と口だけを切り抜いたふろしきで覆面をした男がベランダから侵入、岡田さんの胸元に果物ナイフを突き付け「大声を出すな。おとなしくすれば何もしない」と脅した。
この際、岡田さんはナイフをよけようとして両手に十日間のけがをした。男はネクタイのようなもので岡田さんの両手両足を縛りさるぐつわをかけたが、岡田さんの両手の出血がひどいのを見てシーツを破り包帯をした。岡田さんが「水が欲しい」と言うと水を飲ませてくれたうえ、冷蔵庫からトマトを出して食べさせる優しさぶり。
男は岡田さんの介抱をかいがいしくしたあと「五年前からこんなことをしているが、実はあなたのファンだ」と語り、岡田さんの血に染まった包帯などをボストンバッグに入れて午前七時ごろ逃走した。男が両手両足のひもをほどいて逃げたため、岡田さんはその直後に一一〇番したという。
三田署は強盗傷人の疑いで調べているが、男は三十歳ぐらいで身長約一八〇センチ、口の上に大きなほくろがあったという。岡田さん方は八階建てマンションの八階で、室内は物色されていなかった。同署は男の侵入経路などについて岡田さんから詳しく事情を聴いている。