アンチの壮絶なヤジに耐えた…あっちゃん涙「私はこんなに嫌われてたんだ」

【2011年6月10日のデイリースポーツ紙面より】

 人気アイドルグループ・AKB48の22枚目シングルの選抜メンバーを決める「第3回選抜総選挙」の開票が9日、日本武道館で行われ、前回597票差で惜敗した前田敦子(19)が13万9892票を獲得し、首位奪還を果たした。連覇を狙った大島優子(22)は前田に約1万7千票差をつけられ、2位に終わった。会場には8500人のファンが集結、総投票数108万1332票を数えた空前のビッグイベントは、初代女王の前田のリベンジ劇で幕を閉じた。

 2位の発表に入る瞬間、前田は体を震わせ、続く言葉を待った。「チームK、大島優子!」。第1回総選挙でトップに立った初代女王の政権奪還に地鳴りのような大歓声がわき起こる中、前田はステージ前最前列の席で涙をこらえきれず両手で顔を覆った後、首位の喜びをかみしめるようにゆっくりとはにかんだ。

 先にステージに上がってスピーチする大島の姿を見ているうちに、再び涙。「1位、チームA、前田敦子!!」と自分の名前が呼ばれると、顔をくしゃくしゃにして号泣。イスに座ったまま激しく頭を上下に何度も振り、喜びを爆発させた。立ち上がった後は観客席を振り返り、約20秒間も頭を下げ続けた。

 ステージでマイクを握ると、「もちろん、私のことが嫌いな人もいると思います」と切り出した。続けて「私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないで下さい!!」と声を張り上げた。2年前の第1回総選挙では2位の発表前に「前田、前田」と2位を“期待”するアンチファンからの壮絶なヤジが飛び、「私はこんなに嫌われてたんだ」と涙した。首位返り咲きでの異例のあいさつは、“絶対的エース”としての強い自覚からだった。

 体調不良で、握手会を途中退席したこともあった。睡眠2時間の日々が続いても仕事量を減らすことはなかった。休日返上でソロ曲(22日発売)のレコーディングもこなした。仕事を多くこなすことで、エースの重圧を乗り切ってきた。

 恒例のトップ交代の儀式。ステージ上で大島と向き合った前田が嗚咽を漏らしながら「この1年間、みんなを引っ張っていってくれたのは優子だと思ってます。一緒に支えていってくれたらうれしいです」と呼びかけると、大島は「ありがとう」と小声でささやき「あっちゃんが笑顔で前を向いてくれていればそれでいいです」と、13秒間抱き合った。

 「正直、うれしいです」と笑顔を見せた首位奪還。総投票数は100万票を超えた。とどまることを知らないAKBの中心に、今後も“あっちゃん”が立ち続ける。

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