英社会派音楽家が左派勢力に呼びかけ

 イギリスの社会派ミュージシャンの草分けで政治活動家としても活躍するビリー・ブラッグが、マーガレット・サッチャー元英首相の死去を原動力として現・保守党政権に対抗する左派勢力の運動を盛り上げるべきだと主張している。1979年から1990年までの首相在任期間に、新自由主義に基づいた経済政策を行い、労働組合と激しい政治闘争を展開するなどイギリスの国論を二分したサッチャー元首相が8日(月)に87歳で逝去したことで、イギリス国内では元首相の死を悲しむ声が大半を占める中、逆に死亡のニュースを歓迎して祝福するムードも一部あることから、ビリーが今回その流れに待ったをかけている。ビリーはサッチャー元首相に反対する勢力としては死亡というニュースを祝福するのではなくそれを契機に、むしろ現在のイギリスの政権政党に反対するための勢力結集を呼びかけている。

 ビリーは自身のフェイスブックで「今は祝福の時ではないんだ。マーガレット・サッチャーの死は、どのようにして今イギリスが置かれている混乱が生み出されたのかを知る顕著なきっかけに過ぎないんだよ」「労働者階級がどうして仕事1つだけではもはや家庭を支えられないのか、なぜ家賃の低い住宅市場が欠落しているのか、なぜ国内成長の原動力が実体経済ではなく金融によって支えられてしまっているのか、なぜ国民は税金をどんどん支払わなければならなくなるのか、なんで意地の悪い政権は低所得者層がもう1つベッドルームを欲しいと思ってもそうできないような不利な立場に追いやるのか、なんでメディア王のルパート・マードックが権力を持つのか、なんで皮肉と貪欲がこの社会に蔓延するのか」「年を取ったヨボヨボの婆さんの死に対して祝杯を挙げてみても、こういう現状は何も変わらないんだよ。でも、シニシズムを解毒する唯一の手段は行動することなんだ。祝福するな、組織行動を起こせ!」と持論を展開している。

 サッチャー元首相の死は政界のみならず、メディアのセレブ達からも様々な反応が出ていて、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』で3度目のオスカーを受賞したメリル・ストリープはサッチャー元首相のことを「彼女はパイオニアよ...女性の政界進出という役割においては」と表現し、その業績を称えている一方で、新自由主義的なイデオロギーや金融の世界における規制緩和などには非難の言葉を投げかけている。

 さらにビリー同様、『マーガレット・オン・ザ・ギロチン』をリリースしたこともあるモリッシーは、サッチャー元首相のことを「人間性のかけらもない恐怖の化身」と評している。

(BANG Media International)

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