渡辺謙 胃がん全快宣言「前に進める」
早期の胃がんで手術を受けて療養していた俳優・渡辺謙(56)が5日、米・ニューヨークでのブロードウェーミュージカル「王様と私」での仕事再開を前に、千葉・成田空港で会見した。渡辺は自覚症状がないまま、手術を含めてわずか4日間の入院生活でのスピード復帰。早期発見につながった人間ドックを勧めてくれた妻で女優の南果歩(53)に、あらためて感謝の言葉を向けた。
まったく変わらぬ精かんな姿だった。衝撃のがん公表から1カ月。デニムジャケットのラフなスタイルで現れた渡辺は、待ち受けた50人の報道陣に「おはようございます」と元気よく声をかけると、「科学、医学の進歩はすごい。痛みも症状もなく、4日間の入院ですみました」と経過を報告した。
「1番大変だったのは3日間の絶食」と言うように、一時的に体重は3キロ落ちたが、すでにほぼ元に戻るなど順調そのもの。今後は半年に1回のペースで検査を受けるという。
正月明けに長女で女優の杏(29)が自宅に遊びに来た際、人間ドックの話題となり、「『(米国から)帰ってからでいいんじゃない?』と言ったら、カミさんが『すぐに行け』って」と運命の分岐点を述懐。「目に見えないソワソワしたものがあったのでしょう。そういうところに救われたと感じてるし、うれしい」と愛妻の“直感”に感謝した。
1989年に急性骨髄性白血病を発症し、克服した過去もある。「大きな病気をして、人は死ぬんだと思った。もう1回、再認識する機会に恵まれたのでしっかり受けとめたい」と神妙な表情で、命の重みをかみしめた。
渡辺は2月上旬に内視鏡による手術を受け、同9日に公表。当初は昨年に続き、3月1日から「王様と私」に再登板の予定だったが、半月遅れの17日に出演初日を迎える。ブロードウェーでの役者業再開も世界的スターならでは。「ご心配おかけしましたが、また新しい仕事、役に向かって前に進めることになりました」。驚異の回復を見せた渡辺は力強い言葉を残して、機上の人となった。