野々村被告 心証悪く実刑の可能性は

 政務活動費約913万円をだまし取ったとして詐欺罪などに問われるも、昨年11月の初公判をドタキャンした“号泣県議”こと元兵庫県議の野々村竜太郎被告(49)の“やり直し初公判”が26日午前、神戸地裁(佐茂剛裁判長)で開かれた。野々村被告は冒頭で起訴内容を否認し、被告人質問では「記憶にございません」を連発。真摯な反省とは正反対とも言える言動が目立った。量刑への影響を日本テレビ「行列のできる法律相談所」に出演する北村晴男弁護士に聞くと、実刑の可能性は低いとの見解を示した。

 北村弁護士は「反省していないとなれば再犯の可能性が高くなる。だから量刑に影響する。しかし、野々村被告の場合、再犯の可能性は低いのでは」と述べた。

 その理由として、野々村被告がすでに議員辞職し、政活費も弁済していることをあげた。さらに、再犯の可能性について「これだけ有名になってしまうと、仮に立候補しても議員に当選する可能性は低い。となれば同じ犯罪を繰り返す可能性は低い」と指摘。「世間のあらゆる人に警戒され、誰かがだまされるという可能性も低い」と述べた。

 従って裁判所も、心証の悪さから実刑に傾いたとしても「再犯の可能性が低いという点に鑑みて執行猶予に落ち着くのでは」と分析した。

 野々村被告が連発した「記憶にございません」は、代理人弁護士と打ち合わせ通りだったのか。これについて北村弁護士は「あくまでも推測だが」と断った上で、「打ち合わせとは違うのではないか」と弁護人としては想定外だったのではとの見方を示した。

 北村弁護士は「弁護人としては認めるところは認めたほうがいいと助言する。それを被告は聞かなかったのかもしれない。打ち合わせをしても本人の意思が硬ければどうしようもない。否認するなら根拠を示さなければならないと言っても、被告が『覚えてないんだから仕方がない』と言えばどうしようもない」と弁護人としての限界を述べた。

 裁判長からも「さっさと答えなさい」と強い口調で叱責された野々村被告。北村弁護士は「弁護人としてはこの被告との意思の疎通は難しいかもしれない。となると裁判所に対しては、すでに被告が社会的制裁を受けていること、再犯の可能性が低いことを訴える。その方が被告人の利益にもかなう」と話した。

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 北村晴男(きたむら・はるお) 弁護士。長野県出身。日本テレビ系「行列のできる法律相談所」にレギュラー出演。趣味はゴルフ、野球。月2回スポーツを中心としたメールマガジン「言いすぎか!!弁護士北村晴男 本音を語る(https://www.tama-project.com/mailmagazin/)」を配信中。

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