「ごちそうさん」ヒロイン 杏
NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」(総合 月~土曜 前8・00)のヒロイン・卯野め以子役を演じる女優の杏(27)。NHKの新たな朝の顔として奮闘中だ。女優として着々とキャリアを積んでいる中、大きな転機ともいえる朝ドラのヒロイン。半年間の大役に向けての覚悟や作品への思いなどを、撮影のエピソードを交えて語ってくれた。
◇ ◇
‐クランクインして数カ月が経過した感想は。
「セリフの量や1日に撮影するシーン数など、今まで経験したことない分量です。撮影の合間もないですね。とにかく目まぐるしくシーンが変わっていく。うわさ通りすごい現場だと感じた」
◆連続テレビ小説「ごちそうさん」は、食べることが一番のテーマ。東京の洋食屋の娘として育ったヒロイン・卯野め以子が、東京から嫁いで大阪での食を学び、真心を込めた料理で、バラバラな家族を解きほぐしていく物語。
「食べるシーンは意外と大変かなと思っていたけど、それ以上に大変だと感じたのは着替え。衣装は着物で、着替えのフロアが1つ違うこともあって。着替えのたびに走り回ることが、予想以上に大変でした。もう数カ月たって、慣れましたけど」
‐場面を連続して撮影するわけでない。違ったシーンを次々と撮影する。頭の中を整理するのも大変ですね。
「1日に台本が4、5冊分、行き来することもある。セリフは合間を見つけて少しずつ覚えています。次週に撮影するシーンは、週の半ばに連絡が来る。それからそのシーンの台本を開いて、1カ所ずつセリフを全部ノートに書き写して覚えます。同時にその前後の場面や状況を書き込みます。前後の流れを、うまく思い出せるように工夫しています。1週間で4、5時間は書いています。絶対的に1日でしゃべる量が多いので。覚えるのが一番の仕事ですね」
‐朝ドラのヒロインは朝の顔。どんなイメージを持っていましたか。
「本当に朝8時の顔というイメージがあった。モデルの仕事で海外に行った時も、現地でその国のNHKを見る機会があったのですが、朝8時になったら朝ドラが始まっていた。恐らく、NHKの方のこだわりとして、世界中で放送時間を変えずに『日本人の見る朝8時!』と決めてらっしゃる印象を受けていました」
「本当に日本の朝の顔でもあり、世界中の朝の顔でもあるんだな。それが半年間、追っていただけるとなると、毎回15分という短い時間ですが、その期間が長い分、深く深く心に染み込んでいくドラマだと思う。その責任を感じています」
◆杏が演じるヒロイン・卯野め以子は、おてんばで、小さい時から食いしん坊。食べることへの情熱は人一倍。大正ロマンを満喫していた女学生時代に、大阪出身の大学生・西門悠太郎と出会い、「食べたい」から「食べさせたい」と思いを変える。
‐自身が演じているヒロイン・卯野め以子と自身の共通点などは。
「食いしん坊なところ。気になったら調べずにはいられないところ。好奇心や興味が原動力の1つになっているところ。逆に違う点は、め以子はすごく勉強が嫌い。私も学問が大好きだったわけでないけど、め以子ほどではなかったかな」
◆食べるシーンで使われている食材は、すべて一流のものが用意されている。四季折々の食材も、逆算して撮影時期に最高のものを出せるように工夫。食べ物の四季を本物の映像で届ける工夫がされている。
‐食べるシーンが多く、太ったりしませんでしたか。
「最もやせていた時よりは増量しました(笑)。他のキャストも増量したみたいです。でも、それ以上に頭を使ったり、着替えで走り回ったりするので、割と相殺されている印象があります」
‐食べるシーンは、笑顔になる。作品の内容にはどんな思いがある。
「脚本担当の森下(佳子)さんは、1週間の中で印象的な“ごちそうさま”という言葉、週を象徴する料理を入れる構成にしている。この週は『これがおいしそう!』『これが食べたかった!』とか、見ている方にも、心の中に深く刻まれるドラマだと思っています。ただ料理が出てくるだけでなく、人間ドラマとなっていて、料理の中で、いろんな喜怒哀楽があったりする。それがずっと楽しめるドラマだと思う」
‐撮影で、一番心をひかれた料理は。
「実は今回、すごくシンプルな味の良さに目覚めました。塩にぎり、梅干しのおいしさとか。あとはぬか漬けですね。漬ける野菜によって、どんどん味が変わっていく。奥が深い。私もぬか床を分けてもらい、自分でいろいろな野菜を漬けてます。最近はプチトマト。今後はお肉も漬けてみたいです。撮影で余った食材を頂いて、自分でも料理をしています。料理で分からないことがあったら、すぐにプロの方に聞けるので、とても良い環境です」
‐このままいけば料理の本も出せるのでは。
「ぜひ『ごちそうさん』のレシピ本を出してほしいと思います。『ごちそうさんカフェ』などで、実際にドラマで出た料理を、味わっていただける場所ができたらいいな」
‐前作の「あまちゃん」がヒットした。「じぇじぇじぇ!」との印象的なフレーズがあった。このドラマの名フレーズは。
「『ごちそうさま』です。タイトルですね。すごく印象的に出てくることが多いです」
‐「あまちゃん」のヒロインは印象的だった。その後のドラマという点は。
「別なドラマという気がしているし、私自身もまだ朝ドラのヒロインというより、ドラマに『出演している!』との感じが大きい。これから、周りの方々が、今やっている朝ドラ!という雰囲気になってきたら、やっと湧いてくるという気がしている」
‐長丁場の撮影への健康管理法は。
「朝ごはんをちゃんと食べて、3食きっちり食べるようにしてます。朝ドラの現場に入って、ほとんどお化粧していないのです。家に帰って顔を洗うのがすごく楽なのですが、やはり、自分のコンディションがすぐ顔に出てしまう」
‐ヒロインの大役を終えた時、どんな姿でありたい。
「完走した時に一番自信が芽生えるものかなと思う。やっぱり、このすごい現場を、こんな大役をやらせていただけるのは、一生に1回のことと思っている。自分にとってプラスにしかならないと思う。まだ、全然終わらないのですが、今から終わるのが惜しい気がしています。たぶん(終わったら)寂しくなるだろうな。軽く燃え尽きちゃう症候群みたいな感じになると思う」
杏(あん)本名・渡辺杏。モデル、女優。1986年4月14日、東京都出身。15歳からモデルとして活動。07年、テレビ朝日系のドラマ「天国と地獄」で女優デビュー。大河ドラマ「天地人」(09年)、「平清盛」(12年)などドラマや映画、舞台など多数に出演。歌手としての活動も。父は俳優・渡辺謙。身長174センチ。
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