“第2のディーン”大谷亮平「逃げ恥」で注目 作品に福呼ぶイケメン“座敷わらし”
“逃げ恥”ことTBS系ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(火曜、後10・00)が、社会現象的な大ヒットとなっている。新垣結衣(28)と星野源(35)の恋模様に熱視線が注がれる一方で「このイケメンは誰?」と注目を集めているのが、ドライな結婚観を持つ風見役の大谷亮平(36)だ。韓国で俳優デビューし、キャリアは今年で10周年。4月から日本に活動拠点を移した“逆輸入俳優”の経歴をひもとくと“エンタメ界の座敷わらし”とも言える強運伝説が明らかとなった。
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第1話で10・2%だった「逃げ恥」の平均視聴率は、6日放送の第9話でついに16・9%まで達した。視聴率が一度も下がることなく右肩上がりを続ける快進撃。原作漫画の人気キャラでもある風見役の大谷は「視聴率が上がっていくにつれて、ぐわっと盛り上がるのかと思ったら、現場は淡々と、ですね」と雰囲気を明かした。彫りの深い顔に口ヒゲがワイルドだが、屈託のない笑顔に人柄がにじむ。
ヒロイン・森山みくり(新垣)が、家事担当の従業員として、男女交際未経験の津崎平匡(星野)と契約結婚するラブコメディー。大谷は津崎の同僚で、彼女に結婚を迫られ「いらないものをわざわざ買う?」とまで言ってのけるドライな“ハイスペックイケメン”を演じている。
「今は風見が僕より先に行っちゃってるので、街で声をかけてもらうときも『風見さ~ん』。僕の名前は知らないと思うんですけど」と、風見フィーバーを実感する日々。あっけらかんとしたミステリアスなキャラで物語に厚みをもたらしているが、役作りには試行錯誤があったという。
「インするときは、ぶっちゃけ違ったアプローチで、そこはプロデューサーや監督と話し合って(キャラを)作っていきました。暗い感じにミステリアスだと思ってたんですけど、そうじゃなくて、常におおらかで、だからこそ余裕がある。なかなか感情を見せない、っていうのは意識してます」
大阪出身の日本人だが、10年前に韓国でデビュー。現場でも新垣と「日本と韓国の違いの話をしたり、逆に僕が戸惑っているときに『日本はこうですよ』と教えてくれたり」と、特殊な経歴が話題に。韓国ではほとんどが無口で重苦しい役柄だっただけに「演技の上で、こんなに笑うことはなかった」と風見役を楽しんでいる。
10歳からバレーボールに打ち込み、高校時代にはキャプテンも務めた。公称180センチの長身で、鍛え上げられた肉体は存在感たっぷり。大学卒業後、コーヒーショップで働いていた2003年に転機は訪れた。
「モデルをしている店員さんがいて『大谷くんも、イケるよ』とおだてられまして。僕はパリコレみたいなものを想像していたので『ムリっすよ』と思ったんですけど…イケたというか」と、いたずらっぽく笑う。
雑誌やCMのモデルとして活動を始めると、すぐに韓国からオファーが届いた。「当時は台湾とか中国とかアジアからの仕事も結構あったので」と自然体で異国の地に飛び込み、未来を切り開いていく。
翌04年、韓国の事務所から、移住して活動しないかと誘われた。いわく「大谷2カ年計画」。2年かけて語学を覚え、現地で芸能人を目指そう、というプランだった。
「当時は韓国語もしゃべれなかったんですけど、不安もまったくなくて」。えいや!!と身を投げるでもなく、ふわ~っと韓国に拠点を移し、現地の大学で語学を勉強した。
本格的な活動で、韓国にすっかりなじんだ、まさに2年後の2006年。シチュエーションコメディー「ソウルメイト」の主要人物に抜てきされた。
「いきなりメインの一人。女性の放送作家さんが気に入ってくれて、初めはバラエティーとして使いたいと言ってきてくれたんですけど、僕も粋がってたので『ドラマ以外はしません』と(笑)。そうしたら、僕を当て書きしたドラマのホンを持ってきてくれたんです」
このドラマが大当たりし「何話か進むと街に出たらすぐバレる、みたいな感じでした」。モデルになった経緯もさることながら、以後も大谷の縁や運を引き寄せる、いわば“座敷わらし力”は際立っていく。
日本に帰ろうと思ったことが一度だけあった。2010年に韓国での仕事が途絶え「撤退しようと思って、モデルの仕事があった台湾に行ったんです。稼いでから日本に帰ろうと思って。そうしたら台湾に行って2カ月目くらいに『神弓』のオファーをいただいた。本当に縁なんですけど、その役だけ最後まで(キャスティングが)決まらなかったみたいで、監督が僕の写真を見て『こいつ!』と決めてくれたんです」。
この映画「神弓-KAMIYUMI-」は、2011年に公開され、韓国で同年の年間最高興収を記録。さらに同じキム・ハンミン監督から次作にも呼ばれ、出演した2014年の「バトル・オーシャン 海上決戦」は同国の歴代興収1位と歴史に名を残した。
「韓国で出た映画はこの2作なんですが、一つは年間1位で、もう一つは歴代1位。運がいいんですよね。出演したドラマもほぼ全部、1位をとってるんです。僕がどうこうではないんですけど、うまくいくんですよね」
どれも主演作ではないが、好成績を呼び込む神通力は「逃げ恥」にも通じている。
今年4月に、同じくアジア圏で活躍し、日本に拠点を移した俳優ディーン・フジオカ(36)と同じ芸能事務所「アミューズ」から声をかけられて帰国。“第2のディーン”として注目されるようになった。
まるで二匹目のどじょうのように言われるのは決して気持ちのいいものではないのでは、とも思ったのだが、大谷は否定した。
「結構、周りから『いやじゃない?』と言われるんですけど、ポジティブにとらえてます。台湾にいる仲のいい日本人の友達に言われたんです。『“第2”になるのは簡単じゃない。そこに入れるのはラッキーだね、リョウ。“第2”になりたい人ばかりなんだから。いいフレーズだし、注目を浴びられるし、いいことばかりじゃないか』って」
モデルになったのも、韓国に行ったのも縁。日本に帰ってきたのも、帰ってきた地に逆輸入の先輩がいたのも、すべては運命的な巡り合わせだ。不思議な風に乗って人生を流転してきた“イケメン座敷わらし”が、これからも作品に福をもたらすに違いない。
◆大谷亮平(おおたに・りょうへい)1980年10月1日生まれ、大阪府出身。2003年に日本でモデル活動を始め、すぐに韓国版「ダンキンドーナツ」のCMに起用される。04年、韓国に移住。06年、ドラマ「ソウルメイト」で俳優デビュー。「ボクヒ姉さん」「追跡者」などのドラマに出演。14年の「朝鮮ガンマン」で韓国ドラマアワードのグローバル俳優賞を受賞。今年4月に帰国。福山雅治主演のドラマ「ラヴソング」で、日本での俳優活動を開始。来年、テレビ朝日系ドラマ「奪い愛、冬」(1月20日スタート、金曜、後11・15)出演。