寅さん初代マドンナ光本幸子さん急死

 劇団新派の舞台などで活躍し、映画「男はつらいよ」シリーズの初代マドンナを務めた女優の光本幸子(みつもと・さちこ、本名深谷幸子=ふかや・さちこ)さんが22日午後6時10分、食道がんのため東京都台東区の病院で死去した。69歳。台東区柳橋出身。葬儀・告別式の日取りは未定。施主は次男・深谷慶介(ふかや・けいすけ=35=)さん。       

 深谷さんによれば、光本さんは1年半ほど前、食道がんと診断された。放射線治療を受けて一度は完治したが、程なく再発。治療と入退院を繰り返しながら生活していた。深谷さんが本紙に「(昨年の)年末までは、体調が悪いながらも、元気に動き回っていました」と明かした通り、昨年8月4日には東京・葛飾柴又寅さん記念館で行われた渥美清さんの十七回忌献花式に出席するなど活動していた。

 昨年末に入院し、今年に入って病状が急激に悪化。意識はしっかりしており、最後は前夫の阪口祐和さんら家族にみとられて、眠るように亡くなった。昨年12月15日、都内の映画館「銀座シネパトス」で行われた「男はつらいよ」のトークショーに出演したのが、最後の公の場となった。

 光本さんは1943年8月25日生まれ。62年上野学園高等学校音楽科卒業。六世藤間勘十郎(二世藤間勘祖)に日本舞踊を師事した。

 初代水谷八重子の目にとまり、門弟として劇団新派の女優となった。55年、明治座「望郷の歌」で舞台デビューすると「なよたけ」(67年・歌舞伎座)で市川新之助時代の十二代目市川團十郎と共演するなど、新派の中軸として活躍した。

 69年、渥美さんが主演した映画の人気シリーズ「男はつらいよ」の第1作に初代マドンナの冬子役で出演。主人公の寅さんこと車寅次郎(渥美さん)が思いを寄せる帝釈天のお嬢さんを演じ、映画初出演で、日本映画史にその名を刻むことになった。また、NHK連続テレビ小説「たまゆら」など、テレビドラマにも多く出演した。阪口さんとの結婚を機に引退したが、84年に舞台「陽暉楼」(新橋演舞場)で女優復帰。97年度菊田一夫賞を受賞するなど、舞台を中心に活躍を続けていた。

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