東電の吉田元所長、食道がんで死去
東京電力福島第1原発事故の収束作業を現場で指揮した元所長で、東電執行役員の吉田昌郎(よしだ・まさお)氏が9日午前11時32分、食道がんのため都内の病院で死去した。58歳。大阪府出身。葬儀・告別式は未定。
東京工業大大学院修了後の1979年、東電に入社。原子力の技術畑を歩み、本店の原子力設備管理部長などを経て2010年6月に第1原発所長に就任。東日本大震災に伴う原発事故の収束作業を、主に原発敷地内の免震重要棟で指揮した。
11年11月には事故発生後の1週間を振り返り「(自分が)もう死ぬだろうと思ったことが数度あった」と話していた。
食道がんと診断され11年11月に入院、翌12月1日付で原子力・立地本部に異動した。12年7月には脳出血で倒れた。事故後の被ばく放射線量は約70ミリシーベルトで、食道がん発症の原因になった可能性は極めて低いとされた。