直木賞作家・連城三紀彦さん死去

 直木賞作家の連城三紀彦(れんじょう・みきひこ、本名加藤甚吾=かとう・じんご)さんが19日午前11時25分、名古屋セントラル病院で死去した。65歳。名古屋市出身。葬儀・告別式は近親者で済ませた。

 早稲田大在学中に映画のシナリオライターを志してパリに留学。小説「変調二人羽織」で雑誌「幻影城」の新人賞を受けてデビューした。

 大学卒業後は、名古屋市で塾講師をしながら小説を書き続けた。1981年には、大正期の歌人を主人公に据えたミステリー「戻り川心中」で日本推理作家協会賞短編賞を受賞、この作品は神代辰巳監督が「もどり川」として映画化した。

 「もどり川」の主演俳優、萩原健一さんをイメージして書いた短編集「恋文」が84年、直木賞を受賞。「恋文」も萩原さん主演で神代監督が映画化した。自作の「白蘭」が舞台化された際は演出も手掛けた。

 若くして死別した父の道を継ぎ、40歳を前に京都市の東本願寺で得度して僧侶に。十数年にわたってひとりで母親を介護し、2005年前後の数年間は休筆した。近年は寡作で、胃がん療養中だったが、肝転移していたという。

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