１１日に乳がんのため亡くなった、読売テレビの清水健アナウンサー（３８）の妻・奈緒さん＝享年２９＝の葬儀・告別式が１４日、大阪市阿倍野区の「やすらぎ天空館」で営まれ５００人が参列した。昨年１０月に生まれたばかりの第１子の長男を抱きかかえた清水アナは、妻が不安なそぶりをみせずに病と闘い続けたことを明かし、遺影に「立派ないい妻だった。いいママだったよ。奈緒、ありがとう」と涙ながらに語りかけ、最後の別れをした。

　喪主あいさつで清水アナは「大切な奈緒を力及ばず守ることができませんでした。申し訳ありませんでした」と唇をかんだ。結婚生活はわずか１年９カ月。「あまりにも早すぎて、あまりにもつらい現実で、どう受け止めていいのか…」と絞り出すように胸中を語った。

　「治療がどんなにつらくても、不安があっても『私より周りがつらい』が奈緒の口ぐせでした。一度も涙はみせず、１１日午前３時５４分、最後も皆に心配かけまいと、静かに、穏やかに…」

　気丈だった妻に向け「息子が２日前に初めて寝返りした。見せてやりたかった」と涙声で報告し「悔しい思いでいっぱいだったと思います。心残りだったと思う。ただピリオドとは全く思っていません。この子の成長を、今後も奈緒とともに歩んでいきたい」と語りかけた。

　笑顔の夫人の遺影は、昨年１２月に家族３人で沖縄・竹富島を旅した際の写真が使われた。最後の家族旅行だった。この日、遺族の意向により、夫人の名前と、写真が公表された。

　「すばらしい妻を持ちました。１年９カ月の結婚生活、大事な大切な宝物になりました。奈緒、ありがとう」

　出棺の際、こらえきれずに涙を流した清水アナは、親族女性に抱えられ無邪気な表情の長男を抱きしめながら、車に運ばれる妻の棺を見守り、参列者の涙を誘った。