坂東三津五郎さん膵臓がんで死去…59歳
歌舞伎俳優で日本舞踊坂東流の家元でもある坂東三津五郎(ばんどう・みつごろう、本名守田寿=もりた・ひさし)さんが今月21日、午前2時3分に膵臓(すいぞう)がんのため都内の病院で亡くなったことが、22日、分かった。59歳。親友でもあった故中村勘三郎さんとともに歌舞伎界をけん引する存在だった。葬儀・告別式は25日午後3時から東京都港区南青山2の33の20、青山葬儀所で。喪主は長男で歌舞伎俳優の坂東巳之助(ばんどう・みのすけ、本名守田光寿=もりた・みつとし)。
歌舞伎界が、またもや大きな柱を失った。2012年の勘三郎さん、13年の市川團十郎さんに続き、がんと闘っていた三津五郎さんが力尽きた。
13年9月にすい臓がん手術を受け、一度は復帰していた三津五郎さんだったが、昨年9月に定期検診で肺への転移が発見され、同年12月の一人舞台「芭蕉通夜舟(ばしょうつやふね)」を降板。治療に専念していた。
今年1月にはインフルエンザに感染して肺炎を併発し都内の病院に緊急入院。同2月7、8日には一時外出し、都内で行われた坂東流の名取試験に立ち会った。8日には自宅でNHK BSプレミアム「美の壺」(27日放送予定)を収録。同席した関係者によると、闘病中とは思えないほどの力強い語り口だったという。
しかし、17日に容体が急変。その後は小康状態を保ち20日まで意識はあったが、21日未明に家族に見守られながら静かに息を引き取った。
昨年10月14日の俳優・米倉斉加年さんのお別れの会に出席するなど、公の場には姿を見せていた。今年元日には公式ホームページに「もしかすると生まれて一番嬉しいお正月かもしれません。一昨年の病気を経て小康を保っている今年は、『あ~、新しい年を迎えられて良かったなぁ…』と、心の底から新年を迎える喜びが立ち上がってくるのです」と前向きにつづっていた。
三津五郎さんは歌舞伎だけでなく、映画やドラマでも活躍。同い年だった勘三郎さんと並んで歌舞伎ファン以外にも広く知られた俳優だった。
手術成功後には「自分までいなくなるわけにはいかない」と語っていたという。その後の舞台復帰会見では「わたしの生きる場所はここだなと感じました」と歌舞伎への思いを力強く語っていたが、願いはかなわなかった。