宝塚の新人公演とは トップへの試金石

 宝塚歌劇団で花組公演「ME AND MY GIRL」の新人公演が17日に行われた。ファンの間で「新公」として親しまれるこの公演とは。宝塚と東京の本公演中に、初舞台から7年目までの生徒で演じられる公演で、それぞれ1回ずつ上演される。新公で主演を務めたかか否かがトップへの道を左右する。

 タカラヅカはスターシステムで、トップスターを頂点にトップ娘役、2番手と序列がはっきりしている。衣装や羽根の大きさが全て異なり、遠目には同じような衣装であっても、よく見るとスパンコールのデザインが違っていたり、ボタンが豪華だったりと差異がある。

 退団後は女優として活躍している真矢ミキも「ボタンがキラキラしたり、自分しかわからないかもしれないけど、衣装が豪華になっていく度にうれしかった」と振り返ったこともある。そんな真矢をはじめ、現在芸能界で活躍する大地真央、天海祐希、一路真輝をはじめ、不思議キャラでバラエティーでの活躍も目覚ましい紫吹淳なども、在団中はトップとして活躍した。

 トップになるには、まずは新公で主演することが“条件”となっている。劇団は大勢の生徒の中から光る原石を見つけ、新公で主演させる。天海などは研1(入団1年目)で主演している。平成になって以降、45人のトップが誕生しているが、新公で主演していないのは朝海ひかるただ1人。その朝海は新公の代わりに、研10の時に異例の役替わり公演が行われ、それに初主演し、トップになった経緯がある。逆に、宝塚歌劇団100周年の顔であった柚希礼音などは、5作連続新公主演している。

 もちろん、新公で主演した全員がトップになれるわけではない。だが登竜門であることには間違いない。荒削りであっても。華があるか、スター性があるか、また伸びしろは…。劇団はもちろん、ファンも生徒たちをチェックしている。バラエティー番組で活躍する遼河はるひも、トップにはなれなかったが実は新公で主演している。

 17日に行われた花組の新公は、1部と2部が役替わりで1部は主人公のビルを研7の優波慧が、2部を研6の綺城ひか理が初主演した。それぞれが個性を生かし、持ち味を出した舞台となった。

 現在、新公に主演している生徒たちが10年後、20年後の日本の芸能界、ミュージカル界をけん引している可能性も高い。ファンも未来のスター候補生たちの公演を一目見ようと、通常公演以上にチケット入手は困難。毎回立ち見も出るほど、ファンの注目を集めている。それが新人公演だ。

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