藤田菜七子初Vゼッケン盗まれた
歴史的勝利の裏でとんでもない“事件”が起きていた。JRA史上16年ぶり、7人目の女性ジョッキー・藤田菜七子騎手(18)=美浦・根本=が、24日の浦和競馬でデビュー初勝利。そのレースで使用したサイン入りのゼッケンを部外者が持ち去っていたことが25日、明らかになった。関係者は憤りを隠せないでいる。
とんでもない事件は、24日の浦和競馬で歓喜の輪が広がった直後に起こった。3Rのアスキーコードに騎乗した藤田菜七子が先頭でゴールを駆け抜け、JRAの女性騎手としては実に11年9カ月ぶりの勝利をマーク。その後、川崎競馬の厩務員のみに配布されるポロシャツを着用した推定50歳過ぎの男性が、関係者を装って近づいてきたという。
「ゼッケンにサインをお願いできますか?」。浦和競馬では重賞以外のゼッケンに馬名が入っておらず、馬番とレース番が記されている。通常は同一の物を洗浄し、翌開催日にも使用するシステムだ。師匠の根本師は不思議に感じたと振り返るが、「今回は初勝利。記念品として浦和競馬に保管したいのです」と言われ、菜七子がサインをした。
初勝利のほとぼりが冷めたころ、根本師は浦和競馬の関係者に確認し、男性は完全な部外者と判明。その時点では後の祭りで、既に逃亡していたという。「格好から関係者かと。それに当たり前のような振る舞いだった」とトレーナーは堂々たるその手法に驚くとともに、憤りを隠せない様子だ。
競馬場の備品を盗んだとなれば、れっきとした犯罪行為となるが、浦和警察署は「そのようなことがあったのは承知していますが、関係者からの聴取が終わっていないので詳しいことはお答えできません」と話すにとどまった。
菜七子関連のグッズはヤフーオークションに多数出品されている。なかには本人が身に覚えのないサイン入りの物も存在するという。せっかく誕生した競馬界のアイドルが、犯罪の温床や金もうけの道具とならないことを願いたい。