タレント女医・脇坂被告 母の証言に涙
美容クリニックで治療をしたように装って診療報酬をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた医師でタレントの脇坂英理子被告(37)の初公判が11日、東京地裁(林直弘裁判官)で開かれた。脇坂被告はノーメークで、根元が黒くなったロングの金髪を束ね、緑系パステルカラーのスエットで入廷。計約154万円を詐取したとされるが、「間違いありません」と起訴内容を認め、情状証人として出廷した母親の言葉に涙を浮かべた。
バラエティー番組でド派手なホスト遊びを自慢げに語っていた脇坂被告だが、法廷でのスッピン顔に“セレブキャラ”の面影はなかった。共犯者とされる男性被告と共に入廷。職業を聞かれると「医師です」と答え、起訴内容を「間違いありません」と認めた。
起訴状によると、2012年11月~14年10月、千葉県船橋市の「Ricoクリニック」などで患者を治療したように装い、自治体から診療報酬約154万円をだまし取ったとされる。
証言台に立った母親は「いつもお金がないようでした。毎月泣きつかれ、お金を出しておりましたが、その上で不正請求してるとは思いませんでした」と嘆き、自身も4000万円を貸していたと説明。脇坂被告の金銭感覚と交友関係を問題視し、「しっかり監視します。引っ張って、つねってでも従わせます」と訴えた。
娘は母親の証言を伏し目がちに聞き入った。「自分のしたことをよく反省し、立ち直ってほしい。親は絶対に見放しませんから」という言葉には、顔をゆがめ、緑のハンカチで涙をぬぐった。
検察側は、脇坂被告がホストクラブで1300万円も散財し、借金を重ねたと指摘。院長を務めるクリニックの、元看護師らの供述調書も読み上げ、「来院者の9割以上が(患者を装った)紹介患者」「指示も出さずに(看護師に任せて)携帯のゲームをしていた」「施術をしないことに不満を漏らすと減給された」などと、“裏の顔”が暴かれた。