子の付き添い入院で疲弊する親の声 24時間付きっ切り、側を離れられるのは数分のみ

 今年6月にTwitter(現:X)でもトレンド入りし、話題となった付き添い入院。子どもの入院時に、親が一緒に病室に泊まり込んで世話をしなければならない。その過酷な環境に付き添う親から疲弊した声が上がり、問題視されている。今回、実際に子供の入院時の付き添い入院を経験者に話を伺った。

 厚生省からは「患者の病状により、又は治療に対する理解が困難な小児患者又は知的障害を有する患者等の場合は、医師の許可を得て家族等患者の負担によらない者が付き添うことは差し支えない。なお、患者の負担によらない家族等による付添いであっても、それらが当該保険医療機関の看護要員による看護を代替し、又は当該保険医療機関の看護要員の看護力を補充するようなことがあってはならない」と通達されている。だが実際には、付き添う家族への負担は大きい。

 3人の子を持つ神戸市在住のNさんは、小児喘息を持つ2歳の末っ子が生まれつき身体が弱く、今まで何度も入退院を経験している。数日で退院できることもあれば、長期にわたることもある。「うちの子がよく入院する近くの医療センターでは、保護者の付き添い入院が必須でした。病室を離れる際は看護師さんにお願いしないといけないので、病室の外にある共用トイレに行くだけでも必ず一声かける決まりでした」という。

 子どもから離れられる時間が数分程度に限られるなか、特に食事面で苦労したと言う。「親の食事は外食や一時帰宅が認められていないので、基本的に病院内にあるコンビニで三食済ませる感じでしたね」

 また入院中の保護者の交代が認められていなかったことも、負担が大きかった。「1週間以上の入院でも、付き添いの交代ができなかったので、その間は片方が仕事を休み続けることになり、結果身体的にも収入面でも苦労しました。現在は準社員ですが、リモートワークができる仕事への転職を検討しています」と、働き方の変更も余儀なくされている。

 病院によって、付き添い入院の求められる年齢は異なるが、未就学児の場合は付き添い入院が必須の場合が多い。入院中の子どもの食事のサポートやおむつ交換など、身の回りの世話を24時間付きっ切りで行わなくてはならない。簡易ベッドのレンタルがない病院では、子どものベッドで添い寝をするしかなく、落ち着いて眠ることも難しい。トレンド入りしたことで問題が浮き彫りとなった、付き添い入院の過酷な現状。疲弊する保護者達の声をもとに、国全体で何かしらの環境改善へ向けた施策が今後求められるのではないだろうか。

 (デイリースポーツ特約・はせがわ みずき)

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