【凱旋門賞】オルフェ差された2着惜敗

 「凱旋門賞・仏G1」(7日、ロンシャン)

 夢をかなえることはできなかった。フランスの名手クリストフ・スミヨン騎手(31)とのコンビで臨んだオルフェーヴル(牡4歳、栗東・池江)は、欧州最高峰のレースで2着に惜敗。道中で後方を追走した5冠馬は直線で大外に持ち出し完全に抜け出したが、ゴール寸前で地元フランスのソレミア(牝4歳)にかわされた。1969年の初挑戦から43年、日本競馬の悲願はまたも欧州の厚い壁に阻まれた。

 勝ったと思った。直線で大外へ持ち出し、オルフェーヴルが先頭に躍り出る。悲願がかなったと思った瞬間だった。ゴール手前10メートルでソレミアにかわされた。1969年に初参戦したスピードシンボリから43年。のべ12頭(ナカヤマフェスタは10、11年の2回)の日本馬が挑んできたが、99年エルコンドルパサー、10年ナカヤマフェスタの2着が最高。日本最強馬はあと一歩、本当にあと一歩でタイトルを手にすることはできなかった。

 舞台は勝った前哨戦のフォワ賞と全く同じ。池江師が「歓迎」と話していた大外枠から、道中はスムーズな走りを展開した。アップダウンの激しいコース形態に、脚に絡みつくような密度の濃い芝。週中から断続的に降った雨の影響で例年以上に力のいる馬場になったが、問題はなかった。ただ、勝利の女神はほほ笑んでくれなかった。

 勝つことだけを考えてやってきた。今年初戦の阪神大賞典では外に逸走して2着。ダートでの調教再審査を経て臨んだ春の天皇賞では見せ場なく11着に敗れたが、心が折れることはなかった。続く宝塚記念で復活Vを飾り、正式に参戦を表明。海外初挑戦ということもあり、主戦の池添ではなく、フォワ賞から鞍上にスミヨンを迎えた。凱旋門賞2勝、この舞台での実績も経験も豊富な名手に手綱を託したのも、日本競馬界の悲願達成を願えばこそだった。

 デインドリーム、スノーフェアリー、そしてナサニエル。V候補に挙げられたライバルが離脱するなか、欧州の主要ブックメーカーでも上位の支持を集めるなど日増しに存在感は増していった。同時に他陣営のマークがきつくなっていったのも事実だ。帯同馬アヴェンティーノとともに行動することで落ち着きを保ち、休み明け2走目で状態も着実に上向いた。トレーナーも「仕上がりに関しては今年一番」と状態面には太鼓判を押したほどだった。

 悔しさを押し殺すように、池江師は唇をかみしめた。「日本の3冠馬、日本の現役最強馬が世界で通用することは証明できたが、勝負事は勝たなければならない。オーナーと相談になりますが、個人的にはリベンジしたい」と再挑戦に意欲をのぞかせた。スミヨンも「直線に向いて追いだしてからの反応は良かったが、内にささってしまった。ただ、凱旋門賞でこれだけ走るんだから本当によくやった」とたたえた。

 後続を7馬身離した。大きな夢は逃したが、欧州の大舞台で存在感を示したオルフェ。ロンシャンでの無念を晴らす日まで、日本最強馬の戦いは続いていく。

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