「毎日杯・Ｇ３」（２３日、阪神）

　力が違った。４角では置かれたかにも見える位置にいたキズナ。それでも直線で外に持ち出しエンジンがかかると、一気に突き抜けた。最後は流す余裕も見せて３馬身差の圧勝劇で重賞初Ｖ。武豊は「いい競馬ができました。一戦ごとに良くなっている」と淡々とした口調で、先を見据えた。

　皐月賞（４月１４日・中山）の東上最終便。例年そう呼ばれる毎日杯だが、キズナにとってこの賞金加算は、あくまで５月末の府中への切符だ。皐月賞はパスして、京都新聞杯（５月４日・京都）からダービー（５月２６日・東京）へ向かう。

　「中２週続きではダービーも皐月賞もみんななくしてしまう。全てはダービーのため」と佐々木師は説明。弥生賞で５着に敗れた時点で、ダービーのためのローテをオーナーサイドに提示し、快諾を得ていたという。

　世代の頂点を極めるため、今後は厩舎で調整して再び態勢を整える。「ダービーに４７６～８キロくらいで行けたらいい。皐月賞は高みの見物をしていますよ」と指揮官は終始笑顔。この選択を必ずや英断にする。そんな自信に満ちあふれていた。