【高松宮記念】世界の脚!カナロアV3
「高松宮記念・G1」(24日、中京)
これが世界を制した脚だ。断然の1番人気に応えて、ロードカナロアが史上初のスプリントG1・3勝目を決めた。発馬で後手を踏んだが、そんなロスも全く関係なし。直線で力強く抜け出し、従来の記録を0秒6更新するレコードタイムで駆け抜けた。今後も国内外を問わず、快進撃を続けてくれそうだ。1馬身1/4差の2着には後方から差を詰めた2番人気ドリームバレンチノが入り、3着には10番人気のハクサンムーンが逃げ粘った。
人気に応えた 競馬に絶対などない。だが、限りなく絶対へと歩み寄るのが王者の使命だ。史上初となるスプリントG1・3勝目という偉業のかかった舞台でも、ロードカナロアはその思いを貫き通した。残り1F、馬群を割ってチャンプが先頭へと躍り出す。揺れるスタンドのファンに、そして関係者に、カナロアは笑顔を届けた。
「タイミングが合わず出遅れてしまったが、その後はしっかりリカバリーしてくれて、サクラゴスペルの後ろでレースができた。大事な一戦で素晴らしい結果を残せて今はホッとしています」。粘り込みを図る3着馬を外からパス。2着馬の追い上げを封じてゴールに飛び込むと、岩田は右手を力強く突き上げた。
出遅れなんの 昨年のスプリンターズS。聖地で最高峰を極めた香港スプリント。そして高松宮記念。3着に敗れた1年前の苦い思い出を糧に、いつの間にかVを義務付けられる立場になっていった。安田師は「負けたらどうしようという気持ちを打ち消して臨みました」と振り返り「中団で自分のペースを守り、直線で伸びてくれました。最高のレース内容だったと思います」とその頑張りをたたえた。
豪州の女傑ブラックキャビア(牝7歳)が、22日の豪G1・ウィリアムリードSを完勝。デビューからの連勝記録を24に伸ばした。引退時期、今後のローテなどは流動的とされるこの馬とカナロアの行く道が今後、交わる可能性は低い。ただ、世界のスプリント界をけん引していく立場にあることは紛れもない事実。短距離女王がうわさ通り国内専念を打ち出すようであれば、ワールドツアーは、カナロアの手に委ねられることになる。
「引き揚げてきて写真を撮るときには息が入っていた。すごい馬。もっと強いカナロアがいる。そう思っています」。強さを見せつけてなお、進化の途中だと明かした岩田は、喜びを携えて機上の人となった。ドバイで待つのはジェンティルドンナ。ドバイシーマクラシック(30日・UAEメイダン)へ、最高のリズムで臨むことができる。
今後のローテは未定。近くオーナーサイドと協議の場が持たれる予定だが、いま一度最高峰を目指すべき存在との認識で一致することになるだろう。次の負けられない戦いへ。これまでもこれからも、王者の歩みが止まることはない。