【オークス】幸四郎男泣き…うっマンボ

 「オークス・G1」(19日、東京)

 9番人気のメイショウマンボがG1初制覇。樫の女王に輝いた。直線で外に持ち出すと、力強く抜け出し、後続の追撃を振り切った。武幸は7年ぶり4回目のG1勝利。松本オーナーへの“恩返しV”に歓喜の涙を流した。2着には5番人気のエバーブロッサム、3着には1番人気のデニムアンドルビー。桜花賞馬アユサンは4着に敗れた。

 久しぶりに味わう美酒だった。武幸とメイショウマンボは内枠を生かして、道中は中団の内ラチ沿いをピッタリと追走。兄・武豊とクロフネサプライズの逃げがつくるハイペースの中、慌てずにじっと動かなかった。直線で外に持ち出すと、進路が開く。後ろは一切振り返らず必死に追った。相棒はそれに応えて、メンバー最速タイの34秒6の決め手で一気に抜け出すと、追いすがる2着馬を寄せ付けることなくゴールを真っ先に貫いた。

 「幸四郎、おめでとう」。引き揚げてきた人馬にファンからの祝福の声が響く。目の前には幼き日によくお年玉をくれた松本好雄オーナー。そのほほ笑む姿にもう耐え切れない。がっちりと握手をして抱き合うと、熱いものが目からあふれた。

 06年菊花賞のソングオブウインド以来、7年ぶりのG1制覇。「このところG1は乗る回数も減っていた。これまで3回勝たせてもらっていましたが、今回は格別です」。成績が芳しくない時も、ずっと鞍を用意してくれていた松本オーナーへの恩返しだ。涙を拭いても拭いても、目頭は赤いままだった。

 調教師試験に合格した先輩の飯田祐元騎手から主戦を受け継いだのが1月の紅梅S。調教で初めてまたがり直感した。「ストライドが大きい。エンジンがかかるのに少し時間がかかる」。オークス向きだと確信した。

 桜花賞は10着に惨敗したが、こんなものではないと思っていた。オークスには事前のクラシック登録がなかったが、その夜、自ら松本オーナーに電話をかけた。「オークスに行かせてください」。「じゃあ、行こうか」。信頼が伝わるのに多くの言葉はいらなかった。追加登録料は200万円。何としてもその意気に応えたかった。そして、見事に結果を出した。

 開業25年目で初のG1制覇となった飯田明師だが、18日の京都競馬場から帰ると体調を崩して入院。病床のテレビで勝利を見届けた。師から電話を受けた今村助手によると、「良かったなあ」と興奮気味に話していたという。夏を休養に充て、今後は秋華賞(10月13日・京都)を目指す。さらに信頼関係を強固なものにしたコンビが、2冠を目指して突き進む。

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