【安田記念】マイルも克服!カナロアV

 「安田記念・G1」(2日、東京)

 世界を制した自信と底力で、タフな東京マイルも克服した。1番人気のロードカナロアが直線で力強く抜け出し、最後は2着ショウナンマイティの猛追を首差でシャットアウト。昨年のスプリンターズS、香港スプリント、今年の高松宮記念に続くG1・4連勝を飾り、史上6頭目となるスプリント&マイルの2階級制覇を達成した。陣営は秋も“二刀流”の可能性を示唆。国内外を問わない進撃が続きそうだ。3着には12番人気ダノンシャークが健闘。2番人気グランプリボスは不完全燃焼の10着に終わった。

 速いだけじゃない。世界のスプリント王者ロードカナロアがマイル界も制圧。強さとタフさを兼ね備えた最強馬が、史上6頭目となるスプリント&マイルG1の2階級制覇を達成した。

 ステッキを入れたのは残り400メートル過ぎ。抜け出してから外へモタれたが、世界を制した脚は鈍らない。迫るのは対照的に距離短縮で初のマイル戦に挑んだショウナンマイティ。最後は最強スプリンターが首差しのいでゴール板を貫いた。「道中も我慢してくれたし、我慢させる自信もあった。思惑通りのレースができた」。ゴールから逆算する騎乗をイメージしていた岩田にとっては狙い通り、会心の手綱だった。「“世界”を制しているのでマイルでも負けるわけにはいかないと思っていた」。11年1月のジュニアC(2着)以来のマイルを克服して誇らしげにした。

 「ホッとしました」。安田師は安どの表情を見せる。オーナーに安田記念出走を進言したのはトレーナー自身。昨年も6月(函館スプリントS2着)に使って、秋に向けたいい滑り出しができたことが安田記念を選択した理由だった。「千二オンリーできましたので、東京の千六は自分自身もどうかなと思うところはあった」。そんな不安を見事にかき消す快勝に、「強かった。この舞台は他のコースの2000メートルに値する。大きなチャレンジだったけど、充実感があるし、満足しています。種馬としての価値が大きくなりますから」と愛馬をたたえた。

 この収獲大の勝利で今後の予定を軌道修正する可能性も出てきた。当初はセントウルS・G2(9月8日・阪神)からスプリンターズS・G1(9月29日・中山)と、昨年と同じローテを予定していたが、前哨戦をスキップして、史上初となる春秋スプリント&マイルG1完全制覇を狙うプランが浮上。「スプリンターズSからマイルCS(11月17日・京都)になるかも。香港マイル(12月8日・シャティン)も魅力的に思えてきました。挑戦するかもしれません」。香港メディアも出席した会見で、指揮官は世界中に動向を発信した。夢は広がる一方だ。「暮れまで負けられない戦いが続く」と主戦も力を込める。G1・4連勝を決めた絶対王者が国内外で、その強さを見せ続ける。

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