【宝塚記念】ゴールド復権3強対決制す
「宝塚記念・G1」(23日、阪神)
終わってみれば“1強”だった。単勝2番人気のゴールドシップが、これまでの最後方からのまくり戦法を捨て、積極策から抜け出す力強い走りでライバルを完封。1番人気に背信した天皇賞・春のリベンジを果たすとともに、4歳世代3強対決を制し、G1V4を決めた。5番人気のダノンバラードが3強に割って入る大健闘の2着。1番人気のジェンティルドンナは3着、3番人気フェノーメノは4着に終わった。
これぞ、芦毛の怪物の真の姿だ。ファン投票でオルフェーヴルに次ぐ2位、レースでは2番人気に推されたゴールドシップが曇天の仁川を力強く走破。4歳3強対決にケリをつけるとともに、昨年の有馬記念に続くドリームレースV2を果たした。「強いゴールドシップが帰ってきました!」。頂点に導いた内田博が高らかに勝ち名乗りを上げた。
こん身の騎乗だった。五分のスタートから鞍上が押して押して前へ。代名詞となりつつあった最後方のポジションは捨て、スタンドのざわめきをよそに4番手で折り合った。余力十分に迎えた最後の直線。ジェンティルドンナ、フェノーメノとほぼ同時のアタックだったが、脚勢の違いは明らか。先に抜け出したダノンバラードをあっさりとらえると、あとは後続を突き放すばかり。終わってみれば3馬身半差の完勝劇だった。
「きょうは馬がやる気満々でしたね。スタートは出るような雰囲気だったし、出たらちょっと強引に行ってもいいかと思いました。もともと前に行くことができる馬。どんなレースもできることを証明できました」と心地よい汗をぬぐった。
前走の天皇賞・春は1・3倍の断トツ人気に応えられず5着。今回は復権がかかった大事な一戦だった。2週間前から栗東に駆けつけ、相棒と入念にコンタクトを取り続けた主戦は「馬は生き物ですから、細心の注意を払いつつ、走る気になるように調教していました」とリベンジ達成に満足感を漂わせる。「ゴール後は厩務員さんや助手さん、須貝先生、関係者の方々…みんなの顔が浮かびましたね」。陣営が一丸となってつかんだ勲章だけに喜びもひとしおだ。
芦毛の4冠馬の今後は未定ながら、秋以降もどん欲に国内タイトルを狙う方針だ。「この馬にとって一番いいローテで使っていければ。オルフェーヴルにも、いつかはチャレンジャーとして胸を借りたい」。雲間から差し込む光が、誇らしげに笑う姿を明るく照らしていた。