【秋華賞】マンボ2冠、幸四郎完璧騎乗
「秋華賞・G1」(13日、京都)
自信満々のエスコートだった。3番人気のメイショウマンボが、直線で堂々と抜け出す完勝劇でオークスに続く2冠奪取に成功。冷静にパートナーをVへと導いた武幸の手綱さばきが光った。次はエリザベス女王杯(11月10日・京都)で古馬に挑む見込みだ。2着は2番人気の武豊騎乗のスマートレイアーで、武兄弟のワンツーフィニッシュ。1番人気に推されたデニムアンドルビーは4着に敗れた。
ゴールへと続く直線は328メートル。決して長くはない。ただ、ここからの攻防はし烈を極めた。先に抜け出したセキショウを目がけて、各馬が動く。デニムアンドルビー、スマートレイアーの人気馬がスパートをかけると場内のボルテージも一気に上昇。だが、濃密な戦いの中にあってもメイショウマンボの馬上で武幸の自信が揺らぐことはなかった。
オークスをともに勝ち獲った自信、そして秋を迎えてさらに成長した相棒への信頼を胸に、切れ味鋭い末脚を繰り出す。ライバルたちをシャットアウトして、兄・武豊の乗る2着スマートレイアーにつけた着差は1馬身1/4。完璧とも言える内容で2冠獲りを果たした。
「前回(ローズS4着)は負けてしまいましたがその後、思っていた通りに良くなってくれていました。力を出し切れてホッとしています」。引き揚げてきた武幸は、出迎えた飯田明師とがっちり握手。駆け寄った松本オーナーと抱き合うと笑顔がはじけた。涙の戴冠となった樫とは違う。2冠目は自信に満ちたエスコートだった。「夏の間もずっとマンボのことが気になっていた。枠順が出てからもいろんなことを考えたけど、馬を信じて乗るしかないと。正直言って自信はありました」と胸を張った。
「強いとは思っていましたが、これほどまでとは。これまでで一番の状態だったし、(ジョッキーも)よく乗ってくれたと思います」。オークス当日は、前日に体調を崩して東京競馬場に足を運べなかったトレーナーはこの日、晴れやかな表情で初めてG1の口取り写真に収まった。そして、祝福を受ける父を感慨深げに見つめたのは技術調教師として支える飯田祐師。「責任の重い伝言板役でしたが、結果を出せて本当に良かったです」と喜びの輪に加わった。
次戦については明言を避けたが、やはりエリザベス女王杯が有力か。改めて世代最強牝馬を証明したマンボは武幸とともに、さらなる高みを目指していく。