【菊花賞】福永、喜び2倍 来年パパに
「菊花賞・G1」(20日、京都)
56年ぶりの不良馬場決戦となった3歳牡馬ラスト1冠を制したのは、単勝1・6倍の1番人気に支持されたエピファネイア。皐月賞、ダービーともに2着に敗れた春の無念を晴らし、5馬身差でG1初Vを飾った。福永は牡馬クラシック初制覇で、父・洋一元騎手(71年ニホンピロムーテー)とのレース親子制覇も達成。来年3月には第1子が誕生予定でもあり、喜びをかみしめた。なお馬自身は今後、ジャパンC(11月24日・東京)への参戦が有力視される。
ようやく人馬の悲願が結実した。「やっと。やっとや」。エピファネイアとともに検量室前に引き揚げてきた福永はそう繰り返し、角居師と固い握手を交わした。皐月賞、ダービーで2着に敗れた悔しさ。自身42度目の挑戦で、ようやく手にした初の牡馬クラシックのタイトル。そして自らが主戦を務めたシーザリオとの母子クラシック制覇‐。大きく息をつき、全てが報われた瞬間をかみしめた。
「完璧なレースができた。過去は取り戻せないし、これで返せたとも思わないけど、きょうは何としても勝たなければいけないと思っていた。格別です」。
トップスタートを切ると道中は3番手。1周目のスタンド前で少し行きたがったが、懸命になだめた。向正面で落ち着きを取り戻すと抜群の手応えで直線へ。自信を持って仕掛けると「最後はノーステッキだった」と不良馬場をものともせず、後続を5馬身突き放した。9、10Rの騎乗依頼を断り神経を研ぎ澄まして臨んだ大一番で最高の結果を残した。
ダブルでのオメデタだ。3月に婚約し、8月に入籍した元フジテレビアナウンサーの翠夫人が第1子を妊娠。来年3月に一児のパパになる予定だ。「家庭を持って頑張らないと、と思っていた時に結果が出せた。一番応援してくれているし、いい報告ができるので良かった」。いつも支えてくれる家族の存在が、人気の重圧と向き合った自身を勇気づけた。
父・洋一元騎手との菊花賞親子Vも達成。「おやじはもっと勝っていますから。そんなに威張れるものでもない」と照れ笑いしたが、視線は既に次の戦いを見据えている。「これからは古馬のG1ホースが相手。人馬ともにパワーアップしていかないと」。ラスト1冠で大輪の花を咲かせたコンビが、今度は歴戦の古馬撃破を目指して走り続ける。