【ボート】金田 賞金女王へ自然体で

 「賞金女王決定戦・G1」(10日開幕、芦屋)

 2代目マネークイーンは誰だ‐。ボートレース今年の女子レーサー獲得賞金上位12人が激突する注目の一戦。ここでは8月の女子王座決定戦(鳴門)で初のG1タイトルを獲得、今大会初出場となる金田幸子(34)=岡山・86期・A1=に意気込みを聞いた。  

 今年の女子ボート界で最大の“下克上”を果たした選手といえば間違いなく金田だろう。猛暑の鳴門で行われた女子王座決定戦では10度目の参戦で初めて予選を突破すると、上位18人で争う準優も2着でクリア。優勝戦では過去の女王らを相手に4コースから豪快なまくりで初優出初V。優勝賞金1000万円を獲得した。

 この優勝で初のベスト12入りも早々と当確ランプをともした。「今年は思った以上に数字が出ましたね。女子王座はいいエンジンを引けました。賞金女王?本当に意識してなくて(女子王座で)優勝して初めて気が付いたくらい」と笑顔で振り返ってくれた。

 水上の格闘技とも称されるボートレース。ピット内ではピリピリした雰囲気の選手が多いが、彼女はいつも自然体。趣味と話す神社仏閣巡りや、大好きな声優の話になると“本業”以上に盛り上がることもある個性派レーサーだ。「私は気合が入るとダメなタイプなので。無理してもいいことはないですから。賞金女王も大事ですけど、その前に大好きな声優さんのイベントがあるんです。その抽選が当たるかどうかも大事なんです」。勝負の世界に身を置いているとは思えない、ひょうひょうとした立ち居振る舞いが、彼女の魅力にして最大の武器だ。

 昨年新設された賞金女王決定戦は4日間の短期決戦。ボートレースのビッグレースは6日間で開催されることが多いが「ダメな時はダメだけど、波に乗れば一気に勢いに乗れるタイプ」と話す金田にとっては力が発揮しやすい舞台でもある。

 女子王座を制して一気に女子トップレーサーの仲間入りを果たしたが、近況は優勝から見放されている。それでも「最近はエンジンの引きが悪いですから。女子王座でいいのを引いたから、その反動でしょうね」と、マイペースな彼女らしく全く気にするそぶりも見せない。

 「賞金女王の目標?まずは優勝戦の6人に残ること。最終日に最終レースでやっぱり走りたいですよね」。言葉には出さなかったが、その先に見据えているのはもちろん優勝だ。夏の鳴門で頂点に立った金田が、気負いなく臨むであろう冬の芦屋でも大仕事を果たしてくれそうな気がしてならない。

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