【ボート】深谷知博、記念戦線でバトル
池田浩二の2度目の賞金王制覇で幕を閉じた昨年のボート界だが、賞金王決定戦優勝戦では毒島誠、新田雄史ら初出場組が堂々優出を果たすなど、確実に新勢力が台頭してきた。新年・2014年に飛躍が期待される若手に注目だ。東海地区からいまや全国区へ飛び立とうとしている深谷知博(25)=静岡・103期・A1=取り上げる。
「生まれ変わりたい‐」。2014年の目標を尋ねたとき、深谷の口から最初に出た言葉だった。
やまと学校時代、リーグ戦勝率はNo.1(卒業記念競走は優出2着)。卒業後、その“新星”は08年11月、地元・浜名湖で衝撃の1着デビューを果たし、期待にたがわぬ才能を見せつけた。その後、B級を抜け出すのに5期を要したものの、A2級は1期で通過。現在は5期連続A1級に位置し、新期勝率では自身最高の7・44を記録した。
昨年の主戦場であった新鋭リーグ戦では、常に“顔”として注目を浴びた。しかし、優勝となると浜名湖での一度だけ。この結果に「勝ちきれなかった」と唇をかむ。しかし、参戦した新鋭戦の15節中、桐生の新鋭王座決定戦とFを切ってしまったからつ以外、実に13節で予選を突破、7度の優出と文句ない成績を残した。ここまで見ると、順風満帆のレーサー人生のように思えるが、当の本人は「全然イメージ通りにできていない」と悔しさをにじませ、反省ばかりだ。
イメージ‐。深谷には、思い描いていた選手像がある。「レースを見るお客さんが、こいつのレースは面白い!と思える、そして選手からも一目置かれるような、そんな魅力のある選手になりたいんです。でも、それを思うとやりきれない思いが強い」と、自身の現状には納得できないという様子だ。しかし、これは見据える高さによるものとも言える。レース参戦中の彼は、まわりから見れば、そう思わせるだけの真摯(しんし)な姿勢でボートレースと向き合ってきた。
昨年からは周年記念や地区選などG1戦にも出場。戦いのステージが上がった。「上の人とはエンジン出し、旋回力、レース内容と全ての面で全然違いました」と見事に跳ね返されたようだが、このまま黙っているつもりはない。1月末からは、さらに記念戦線での戦いが本格的に始まる。「今年は注目される成績を残して、SGに早く出たいです」と力強く語った視線の先には、“新生”深谷知博の姿がはっきりと見えていたはずだ。