【フェブラリーS】リッキー大金星

 「フェブラリーS・G1」(23日、東京)

 今年最初のG1はまさかの大波乱となった。真っ先にゴールを貫いたのは最低人気のコパノリッキー。鞍上の田辺は通算25回目の挑戦でG1初勝利を決めた。単勝払戻金は2万7210円で、グレード制導入後では89年エリザベス女王杯(サンドピアリス)の4万3060円に次ぐ、JRA・G1史上2番目の高額配当となった。ドバイワールドC(3月29日・UAEメイダン)を見据える1番人気ベルシャザールと2番人気ホッコータルマエは3、2着に敗れた。

 世紀の番狂わせだ。最低人気も何のその、コパノリッキーがダートの強豪をまとめて撃破。西日に照らされた人馬が、ひときわ鮮やかな輝きを放った。

 デビュー13年目でのG1初Vをテン乗りで決めた田辺が声を弾ませる。「ただでさえ(直線の)長い東京競馬場。すごく長く感じました」。好発から番手につけると、余力十分に直線へ。抜け出してからも脚勢は衰えず、ホッコータルマエの追撃を半馬身差でしのぎ切った。「最後はタルマエのメンコがちらちら見えていたが、真横でピタッと止まった。僕の馬はまだ頑張っていたので、いけるな、と思った」。波乱の立役者はゴール前の攻防を冷静に振り返った。

 賞金的に出走が危ぶまれたが、2分の1の抽選をくぐり抜けて決戦の舞台へ。12年に同レースを制したテスタマッタ以来のJRA・G1制覇となった村山師は「騎手時代は1番人気で4着(01年サンフォードシチー)が精いっぱいだったレースで調教師としては2勝。縁があるんでしょう」と頬を緩める。

 中間は栗東坂路ではなく、CWで追い切って調教量を増やし、大一番に臨んだ。テスタマッタは屈腱炎を発症し、G1舞台に立つことなく、今月初めに引退。「あの馬にG1をもっと勝たせられなかった分、しっかりと調整して、勝たせていかないと」。先輩のバトンをつないだ4歳馬に期待を膨らませる。

 ドバイワールドCにも登録はあるが、今後は国内に専念する見込みだ。「オーナー的に、方位が悪いとかもあるので(笑い)。地方交流を含めていろいろ狙っていきたい」。真価が問われるのはこれから。ダート界の新星が、国内制圧に向けて動き出す。

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