【競輪】山田裕仁ラストランさらば帝王
「日本選手権競輪・G1」(21日、名古屋)
“帝王”がバンクに別れを告げた。山田裕仁(45)=岐阜・61期・S1=が21日、ラストランとなった名古屋の一般1Rで5着に終わった。選手としての身分のまま事実上の“引退”。今後は白紙だが、競輪界のサポートをしていきたい意向を示していた。
会見での山田は「やり残したことはない。苦しい練習に耐える気力がなくなり21日で引退します」とスッキリした表情。ただし、選手手帳は返上せず、選手としての身分のままだが「レースは走らない」と話した。
最後のレースは一般1R。1番車で登場した。山田は最終ホームから仕掛けた猪俣についていったが、バックで石丸‐佐々木の中四国コンビが一撃。山田は直線で脚を伸ばしたが、5着に終わった。
レース終了後はファンから、ねぎらいの言葉が飛び交い、検車場に引き揚げると拍手で迎えられ、家族、選手仲間から花束を受け取った。思い出のレースは「完成度が良かった」という03年の日本選手権(平塚)を挙げながら「この3日間、後ろにつくのがこんなに苦しいのか、やめるときはこんなものかと、一番印象に残った」とラストランに感慨深げだった。
今後については白紙だが、競輪界をサポートする意向を示した。問題山積の現状に「いい業界であってほしい。アドバイザーなどで、力を貸せるタイミングあれば」との言葉にも力が入った。
「今回の選手権で戦っている選手は業界、みんなのことを考えていると思う。自分も熱意は当然ある。今はいい方向でないが、いいときが来ると思う」。KEIRINグランプリを史上最多タイとなるV3、02、03年の日本選手権を連覇するなどG1V6と、一時代を築いた男は、競輪の将来を見守っていく。