【NHKマイルC】アイル“完逃”戴冠

 「NHKマイルC・G1」(11日、東京)

 5連勝で鮮やかに3歳マイル王の座を射止めた。単勝1・9倍と圧倒的1番人気に支持されたミッキーアイルが、後続の追撃を首差でしのぎG1初制覇。逃げ切りは至難の業とされる東京マイルG1を見事に攻略した。音無師は区切りのJRA重賞50勝目。2着には17番人気のタガノブルグが入り、3着は12番人気のキングズオブザサンが確保。3連単は68万4020円と波乱の決着となった。

 強烈な向かい風の先に、栄光のゴールがあった。逃げ切りは至難の業とされる東京のマイルG1で、ミッキーアイルが見事に“鬼門”を突破。88年安田記念のニッポーテイオー、12年NHKマイルCのカレンブラックヒルに続く史上3頭目の快挙で、新たな歴史にその名を刻んだ。

 浜中は「多くの支持を集めていましたし、結果を出せてホッとしました」と単勝1・9倍の圧倒的な1番人気に応え、額の汗を拭う。「着差はどうであれ、勝ち切ることにこの馬のすごみがある。本当に馬を褒めてあげたい」と満面の笑みだ。

 勝利への道のりは平たんではなかった。ファンファーレに大歓声とG1特有の雰囲気に、馬はゲート内で落ち着きを失った。自慢のトップスタートも不発。二の脚でハナに立ったが、直線に向いても、いつものようには後続を引き離せない。初の府中で物見をしてフラフラする場面も。最後は迫りくる17頭の蹄音を振り払うかように、懸命な右ステッキで追撃を首差しのいだ。

 「最後は祈るような気持ち。きょうは今までになく直線が長く感じましたね」と主戦が言えば、音無師も「心臓に良くない。バクバクでした。正直負けたかと思った」と09年マイルCSのカンパニー以来となるG17勝目に胸をなで下ろした。「やっぱり休み明けでG1は甘くない。最後の100メートルは根性だね」と愛馬をねぎらう。

 師が手掛けた母スターアイルは激しい気性で距離に壁があったが「この馬は父のディープインパクトに似ている。マイルまでは持つ」と、デビュー以来1600メートルだけを使ってきた。今後は未定だが「距離を延ばすのはもう少し先かな。安田記念(6月8日・東京)もあるし、もし使うならそこになると思う」と、ジャスタウェイなど一線級の古馬が待つ舞台を視野に入れた。

 浜中は「ずばぬけたスピードを持っているし、個性的な馬。これからもっと競馬界を盛り上げてくれると思う」と言い切る。5連勝中の3歳マイル王が、自慢の快速でさらなる強豪へと立ち向かう。

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