【VM】ヴィルシーナ史上初レース連覇

 「ヴィクトリアマイル・G1」(18日、東京)

 不振にあえいでいた昨年覇者が、鮮やかに復活を遂げた。11番人気のヴィルシーナが逃げ切りで1年ぶりのV。史上初のレース連覇を決めた。2着には最内から伸びた3番人気のメイショウマンボが入り、3着は6番人気のストレイトガール。1番人気のスマートレイアーは本来の伸びを欠き、8着に敗れた。

 ヴィルシーナが先手を奪うシーンにどよめきが起こった。抜群のスタートからハナへ。持ち前のスピードを存分に生かして逃げ切った。レース創設9年目にして初の連覇だ。

 腹をくくった。「スタートが良くて、押しながら前へ」と内田博。クロフネサプライズが競りかけず、前半3F34秒7と絶妙なペースで運ぶ。直線に入っても手応えは衰えない。内からメイショウマンボ、外からストレイトガールが強襲するが、もうひと伸び。メイショウマンボを半馬身差しのぎ切ったところがゴールだった。

 人馬の絆が復活劇を呼び込んだ。2月の東京新聞杯で内田博に手が戻った。そこでは結果は出なかったが、陣営は秘策をひねり出す。友道師が振り返る。「ジョッキーは馬の気持ちの入り方が違うと言うんです。そこで、あえて激しい流れの1400メートル(阪神牝馬S)を使うことにしました。あのレースは着を度外視して、ここにつながるレースをしてもらいました」。

 思惑通り、そこから闘志が戻った。点火させたのは内田博だけではない。追い切りには1年ぶりに竹之下が乗った。「しばらく、いいなと思う追い切りがなかったんです。でも今週はやっと闘志を出してくれて。竹ちゃんが乗ったらよく動くんですね」と安田助手。昨年は栗東坂路、今年は同CWとコースこそ違えど、同じアドマイヤバラードとの併せ馬。青毛の脳裏に、輝かしい記憶がよみがえったに違いない。

 来年、6歳春での引退は既定路線。3連覇を狙う予定はない。次走について指揮官は「ここ一本に集中していたから、この後のことは何も」と説明する。今後のローテは内田博やオーナーとの相談次第だが、安田記念(6月8日・東京)や宝塚記念(6月29日・阪神)へ向かう可能性もある。二度目のG1制覇を成し遂げた5歳牝馬が円熟期に入った。

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