安河内 高校野球の経験で訓練乗り切る

 9日から夏の全国高校野球選手権大会が開幕し、甲子園球場で熱い戦いを繰り広げる。かつてこの地を踏み、現在はボートレーサーへと転向したのが、安河内将(24)=東京・111期・B2。グラウンドに青春をかけた野球少年が、人生の舞台を水上へと求めた。

 安河内は佐賀県でも屈指の進学校でもある小城高校からセンバツに出場した。しかし、初戦の相手が悪かった。2番ショートで出場するも、大田阿斗里投手(現・横浜DeNA)を擁する帝京に1対9で敗戦。おまけに、江川卓氏(作新学院)に並ぶ大会史上2位タイの20奪三振を喫する。ちなみに相手の4番は中村晃(現・ソフトバンク)だった。

 国学院大に進学するが、ヘルニアで硬式野球部を1年で退部する。リハビリを経て準硬式に身を置くが、体格差やレベルの違いを痛感して、プロの道は断念。身内にボート選手(入船幸子、三苫晃幸)がいたこともあり迷いはなかった。

 さらに一番の決め手は、この111期から「やまと学校」にスポーツ推薦枠が採用されたことだ。約1600人の受験者から、200人に絞られる一次試験が面接試験のみとなるのは大きい。

 「高校時代の監督が“高校野球は人格形成の場”と常々おっしゃる方で、非常に厳しかった。この経験があったから、やまとでの訓練も乗り切れたのだと思う。ボートレースの魅力はチームプレーではなく個人競技。勝つのも負けるのも全て自分次第です」

 野球少年の運命を変えたスポーツ推薦枠。人生の転機はどこに転がっているか分からない。

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